爪は『健康のバロメーター』ともいわれるほど、健康状態があらわれやすい部分です。
しかし、ふと見てみると、爪に黒い線があらわれていたということはありませんか?
爪にあらわれる黒い線は、そのまま放置しておいてもよい場合と、すぐに治療をおこなったほうがよい場合があります。ほくろや内出血によるものなら問題ありませんが、『メラノーマ(悪性黒色腫)』などの病気の場合は危険です。
この記事では、爪に出る『黒い線』について、小田原銀座クリニック長谷川佳子先生よりご解説していただきました。
正常な爪の特徴は?
爪は皮膚が進化したもので、指を保護するために固くなっています。爪にも栄養分が行き届いていることを健康(正常)な状態であるといいます。
ピンクに見えるのは、爪の表面にある毛細血管が透けて見えるためです。また、表に線やでこぼこがなく、なめらかな表面が理想的です。
爪に出る「黒い線」の原因は?
1.問題のない、爪の「黒い線」
●色素沈着(爪甲帯状色素沈着症)
爪にメラニン色素が増加することで黒い点または黒い線のようなものが発生します。メラニン色素の量が多い時には、その周辺の表皮細胞や、角質層、爪甲の中まで入ってくることがあります。ほくろと同じようなもので、体には無害なのでそのままで問題ありません。
●加齢によるシワ
爪も皮膚の一部であるため、加齢にともないシワができます。この場合、黒い線だけではなく、白い線があらわれる場合もあります。
個人差はありますが、40代ごろから見られることがあるでしょう。色素沈着と同じように、無害なのでそのままで問題ありません。
2.要注意!問題のある爪の「黒い線」
次のような場合は、すぐに病院を受診しましょう。
●外的刺激によるもの(内出血性炎症)
爪に何か物を落としたり、ぶつけたりするなど、外からの刺激があった場合、爪の内部が出血して黒い線があらわれることがあります。これを、『爪甲化出血』といいます。
黒い線は多くの場合、爪が伸びるにつれて先端に押し上げられ、しだいに薄くなり消えていきます。
マラソンなど足に負担のかかるスポーツをしている人や、ギターなどの楽器を弾く人にもよく見られる症状です。爪やその周辺が痛い、爪が剥がれそうだという場合は、治療が必要です。
●アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)
何らかの原因により、副腎のホルモンである『コルチゾール』が分泌されず、副腎皮質の機能が低下している状態です。副腎皮質とは、両側の腎臓の上、左右に二つあります。両側の副腎が90%以上損なわれるとアジソン病になります。
爪の黒い線以外にも、皮膚に色素沈着が見られます。また、食欲不振や低血圧、低血糖など全身に症状があらわれるでしょう。
それらの症状をともなう場合はアジソン病の治療を受ける必要があります。
●メラノーマ(悪性黒色腫)
表皮(皮膚の表面)の色素細胞である『メラノサイト』が癌化した悪性のものです。これはがんの一種なので、放置しおくと大変危険です。
この記事の続きには、「メラノーマの初期症状、色や大きさの特徴、生存率について」「爪に黒い線があらわれたら何科を受診すればいい?」などを詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
この機会に健康検定にチャレンジしてみよう!
練習問題はこちら→→「4級にチャレンジ!」「3級にチャレンジ!」「2級にチェレンジ!」「準1級にチャレンジ!!」「1級にチャレンジ!!!」