「うつぶせ寝が好きみたい。でも危険って本当?」
赤ちゃんのうつぶせ寝は、突然死や死亡事故につながる可能性があります。
監修者
医療法人 小田原博信会
久野銀座クリニック
看護師 細野理恵
「突然死」の原因になるうつぶせ寝
赤ちゃんのうつぶせ寝は、赤ちゃんの突然死や窒息死の原因になります。
乳幼児突然死症候群(SIDS)
赤ちゃんのうつぶせ寝が「突然死」につながるって本当?
厚生労働省では、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症を抑えるとして、「1歳になるまでは、寝かせるときはあお向けに寝かせる」としています。
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、なんの予兆や病歴もないのに乳幼児が突然亡くなる病気です。原因は解明されていません。
窒息死
うつぶせ寝が、死亡事故につながる可能性があるって本当ですか?
消費者庁の調査では、平成22年〜24年までの5年間に就寝中に窒息死した0歳児は160人と発表されました。事故は、「顔がマットレスなどに埋まる」が最多で33件でした。あお向けに寝ていれば、顔がマットレスに埋まるという状況は考えられにくく、うつぶせ寝だったと考えられます。
うつぶせ寝の赤ちゃんへの影響
その他にも、赤ちゃんのうつぶせ寝は以下のような影響を赤ちゃんに及ぼします。
歯並び
うつぶせ寝は歯並びが悪くなるんじゃないかと心配です。
赤ちゃんのうつぶせ寝と将来の歯並びは関係がありますか?
歯並びに悪影響が出る恐れがあります。また、うつぶせで寝かせると、歯並びだけでなく、あごに力がかかり続けるので、顎関節症の原因にもなります。噛むときにあごが痛い、口を開けたり閉じたりするときにカクカク音がする、あごが開きづらいなどの症状がある場合には、顎関節症の可能性があるため一度病院で診てもらってください。
顔のむくみ
うつぶせ寝の後は赤ちゃん顔がむくんでいます。
これって何かの病気なのでしょうか…?
起きると顔がむくんでしまっているのは、よくあることで、何時間かたてば自然に引いていきます。しかし、1日たってもむくみがそのままの場合は、何らかの病気の可能性も考えられますので、病院を受診しましょう。
嘔吐
その他、うつぶせ寝による命の危険性があれば教えてください。
ある程度成長すると、食べてすぐにうつぶせで寝ると腹部を圧迫され、吐き気・嘔吐をもよおす可能性があります。
うつぶせ寝はいつからOK?
赤ちゃんが自分で寝返りが自在にできるようになる1歳以上になるまでは、うつぶせ寝はやめましょう。
厚生労働省では、「1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせる」ように呼びかけています。
成長過程には個人差があるため一概には言えませんが、自分で「SOS」が出せない赤ちゃんが、うつ伏せで寝ているようであれば仰向けに向きを変えてください。首が座った後も、うつ伏せで遊んでいる状態で少し目を離したすきに毛布に突っ込んだり、上から布団が落ちてきたりして窒息事故が起きる可能性があります。自由にうごけない赤ちゃんは、うつぶせ寝にならないように注意してみてください。
うつぶせ寝の防止策
うつぶせ寝を防ぐために、ママ・パパができることを解説します。
あおむけ寝がしやすい方法
寝返りが打ちにくいように硬い寝具を使用し、膝の下に固く丸めたタオルを入れて膝を浮かせると、仰向け寝がしやすくなります。何よりも、合間合間に赤ちゃんの様子を見るようにしましょう。
うつぶせ寝の事故を防ぐ方法
赤ちゃんの寝る環境を整えてあげましょう。次のことに注意してみてください。
うつぶせ寝の事故を防ぐためにできること
敷布団やマットレス、枕は子ども用にかためのものを使用する。
枕元には、ぬいぐるみ・布類・タオルなど窒息の原因になるものを置かない。
シーツはたるまないように敷く。
柔らかすぎる布団は避け、固めのものを使う。
大きすぎて、たるんでいる服を着せない。
柔らかい枕は使わない。
うつぶせ寝だとよく寝る場合
うつぶせ寝が好きなようで、うつぶせ寝だとよく寝ます。
まだ月齢が小さな頃は、うつ伏せだと呼吸や心拍が落ち着くとされています。赤ちゃんは、ママのお腹の中でずっと丸まっているので、体を伸ばすのに違和感を覚えていると考えられます。
起こしてでもひっくり返した方がいいでしょうか?
乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐためにも仰向けに変えてください。
うつぶせ寝でぐっすり眠っているとき、起こさないようにひっくり返すコツはありますか?
体全体を持ち上げるとびっくりして起きてしまうので、頭を持ち上げ、そっと体を動かしましょう。
うつぶせ寝のよくあるQ&A
起きているときはうつぶせは大丈夫?
新生児が起きているとき、お腹の上にうつぶせ状態でだっこするのはOKですか?
赤ちゃんが起きていて、保護者の方が目を離さずに見てられるならうつ伏せで遊ぶのも問題ありません。育児疲れで睡眠不足のママは、そのまま眠ってしまわないように気をつけてください。その隙に赤ちゃんの窒息の危険があります。また、赤ちゃんを乗せていることを忘れて、ママが寝返りを打ち、赤ちゃんを落としてしまう人もいます。
首がある程度座ってきたら、うつ伏せで運動させますが、まだ力がない赤ちゃんは、目を離したすきに事故にあう可能性があります。赤ちゃんから離れる場合は、仰向けにしましょう。
頭の形が心配です・・・
あおむけ寝にすると、頭の形が絶壁にならないか不安です。
確かに同じ姿勢で寝ていると、頭の形が一時的に絶壁のようになる赤ちゃんもいます。しかし、おすわりやハイハイ、立ち上がるようになると寝ている時間は減ります。その頃には、徐々に頭のゆがみはなくなります。今は、医療機器の承認を取得したヘルメットもあります。
この記事は健康検定協会から「子育てエンジョイライフ」に提供されました。