「健康ぴた」に健康検定協会 が協力した記事が掲載されました。
2019年の春はスギ花粉が例年より3倍も多く飛散し、いつもより症状が重かったという人も多いようです。
花粉症の治療法のひとつに「舌下免疫療法」があります。
この治療法は、来シーズン以降に備えて6月から12月の間に治療を始めるというものです。
その理由や詳しい治療法などについて、荒牧内科院長の荒牧竜太郎先生にお話を伺いました。
スギ花粉に効果あり!?舌下免疫療法
スギ花粉のシーズン到来に備えて事前に治療を行うのが「舌下免疫療法」です。
スギ花粉症の方だけでなく、ダニアレルギー性鼻炎の方にも対応していますが、ヒノキやその他の花粉には対応していません。
治療のタイミングは、スギ花粉の飛散が落ち着いている6月~12月に行います。
ではなぜ、花粉が飛散しているタイミングでは治療を実施しないのか、その理由について荒牧先生が解説してくれました。
6月に治療を始める理由
「1月から5月頃は、アレルゲンである『スギ花粉』が多く飛散しています。
この時期はアレルゲンに対する身体の反応が過敏になっていて、少量のアレルゲンを身体に慣れさせるのには適していません。
舌下免疫療法は簡単にいうと、アレルギーの原因物質を少しずつ身体に慣れさせることで、アルルギー症状を起こさせない、もしくは症状が軽く済むようにすることが目的になります」
治療内容や費用
ここで、舌下免疫療法の詳しい治療内容や費用についてもお聞きしました。
「1日1回、少量の治療薬の服用を始めます。初回は大きな副作用が起こることもあるので医師の指導のもと、医療機関で服用しましょう。
その後は自宅で数年間にわたり一定量を継続服用します」
服用方法については、「薬を舌の下に置いてから、定められた時間経過後に飲み込み、その後5分間はうがいや飲食を控えます。治療期間は3年以上が推奨されています」
気になる費用については、「舌下免疫療法は(2014年から)保険適用の治療で、費用は目安ですが月に数千円~1万円程度」だそうです。
金額には開きがあるようなので、詳しくはお近くの耳鼻いんこう科に問い合わせてみると良いでしょう。
注意すべき点は?
舌下免疫療法を行うにあたって、考えられるリスクや注意点についても詳しくお聞きしました。
「副作用として重症なものをアナフィラキシーといって、急激な血圧低下や気分不良、発疹、発熱、腹痛、悪心、嘔吐などが起こることがあります。
これは極めて重篤な状態で、救急の必要があります。
また、軽症なものはかゆみや腫れといった口腔内のアレルギー反応が出る場合があります」
いずれにしても、治療中に何か異常を感じた場合には、早急に医療機関を受診することが必要です。
実際にスギ花粉症を根治できるの?
では、実際に舌下免疫療法でスギ花粉症の根治は可能なのでしょうか?
荒牧先生はこのように答えています。
「根治する場合もありますが、完全に花粉症の症状を抑えられない場合もあります。
しかし多くの場合、今までよりも症状が和らぎ、アレルギー薬の量を減らせる可能性があります」
舌下免疫療法は、スギ花粉症の改善に一定の効果が見込まれる治療法のようです。
子どもが花粉症で苦しまないために…
子どもが花粉症の症状に苦しむのを見るのは、親としても辛いものです。
また、症状により集中力が低下し、学業や日常生活に支障が出るのを避けるためにも、早い段階での治療を検討することが大切になってきます。
そこで、子どもの舌下免疫療法についてお聞きしました。
「現在では5歳以上から使用可能な薬があります。治療期間は大人と同様で3年以上必要です。
費用については保険適用となりますが、詳細は医療機関に確認をお願いします」
大人になって症状に苦しむよりも、子どものうちに治療することで根治、もしくは症状の緩和を目指した方が良いかもしれません。
ただ、治療による副作用に関して気になることがある場合は、事前に医師に相談してみると良いでしょう。
舌下免疫療法の存在を知っていても、治療時期が花粉シーズン後ということでタイミングを逃してしまうケースもあるかもしれません。
スギ花粉症で毎年辛い思いをしている人は、来シーズン以降に備えてこの機会に治療を検討してみてはいかがでしょうか?
興味がある方は、ぜひお近くの耳鼻いんこう科で確認してみてください。