おたふく風邪の予防のために。
大人にも子どもにもうつるおたふく風邪。どういう感染ルートからうつるのか、いつからいつまで感染するのか?解説します!
<監修医>
医療法人 小田原博信会
久野銀座クリニック
院長 岡村信良 先生
おたふく風邪の感染力は高いの?
3~6歳の小児に多い感染症ですが、他の多くの年齢でも感染する場合があります。
ムンプスウイルスは感染力が高いのですが、予後は良好で対症療法で快方に向かいます。
感染に注意するべき季節はあるのでしょうか?
冬から初夏ごろまでが感染が多い時期です。
大人にもうつることがあるの?
大人にもうつります。
幼児期ではなく、10代半ば以降におたふく風邪に感染すると、男性約20~30%に精巣炎、女性約7%に卵巣炎を合併するといわれています。(NIID国立感染症研究所発表)
成人が感染すると症状が重くなる傾向があります。
2回以上感染することはありますか?
何度もおたふく風邪にかかるといった人がいますが、おたふく風邪は1度かかると免疫ができるので、通常2度はかかりません。(稀に、免疫ができないと、再びかかる人もいます。おたふく風邪の免疫ができているかどうかは、検査すればわかります。)
おたふくと似たような症状を繰り返す病気として反復性耳下線炎があります。これはムンプスウイルス以外のウイルスや細菌で耳下腺が腫れている可能性が高いです。
<反復性耳下腺炎の特徴>
・片側だけが腫れやすい
・熱はでない場合が多い
・痛みは軽く、数日で完治何度も繰り返しかかる
大人が重症化したら、どんな合併症をひきおこすことがありますか?
合併症として難聴・内耳炎・髄膜炎・睾丸炎・乳腺炎などを引き起こす場合があります。特に難聴は治らない場合もあります。また、妊娠早期で感染すると流産することもありますから、大人になってからの感染は注意が必要です。
感染期間
うつる期間はいつからいつごろまででしょうか?
潜伏期間は2~3週間です。人にうつしてしまう期間は、耳下腺の腫れがでる数日前から腫れが引くまでです。おたふく風邪だと気がつく前からウイルスを排出しています。
また、30〜35%程度の人が、感染しても症状が現れない“不顕性感染”だとされています。(NIID国立感染症研究所発表)
感染経路と予防法
どういった感染ルートでうつることが多いのでしょうか?
感染ルートは以下の2つです。
飛沫感染・・・感染者のウイルスが入った咳やくしゃみを吸い込む
接触感染・・・感染者のウイルスが付着した手が体に触れる
病原体はムンプスウイルス(mumps virus)です。
日常生活で感染予防のためにできることを教えてください。
マスクの着用を行い、こまめにうがい・手洗いを行いましょう。
予防接種はできるのでしょうか?
おたふく風邪には、予防接種があります。おたふく風邪の治療は、現在対症療法しかありません。(病気の原因を治療するのではなく、症状を緩和させ楽にさせる方法)おたふく風邪は、高熱や耳下腺の腫れが1週間以上続く場合もある辛い病気です。
予防接種を受ければ、万が一発症しても軽い症状で済みます。1回の予防接種では免疫がつかない場合があるので、2回接種を行ってください。日本では任意予防接種ですが、1歳以上であれば接種できます。重い合併症があるおたふく風邪から子どもを守れるのは、現在予防接種だけです。