子どもに多い「おたふく風邪」。大人が発症すると重症化し、女性でも男性でも不妊の原因になることも。
<監修医>
医療法人 小田原博信会
久野銀座クリニック
院長 岡村信良 先生
大人への感染率は高いのでしょうか?
おたふく風邪は、ムンプスウイルスの感染症で、流行性耳下腺炎、ムンプスとも呼ばれます。大人よりも小児に多い感染症です。
ムンプスウイルスは、感染力が高いので、免疫がなければ子どもがもらってきたウイルスでも、容易に大人にうつります。また、大人になって発症すると症状が重くなる傾向があります。
1度感染したことがあるのですが、2回かかることもありますか?
一度かかれば、免疫ができて二度とかからないので、子どもの時にやっていればうつらないはずです。(稀に免疫ができていない場合があります。免疫があるかは、検査でわかります。)
何度も耳下腺が腫れるという症状がある場合は、別の病気の可能性が高くなります。
どういった感染ルートからうつるが多いのでしょうか?
ウイルスの入った咳・くしゃみを吸い込む飛沫感染、感染者がウイルスの付着した手で体に触れ感染する接触感染があります。
学校や幼稚園規模で流行る場合がありますので、自分の子どもだけでなく、他の子どもとふれあう機会が多い、幼稚園や保育園の送り迎えをしている保護者の方も感染する場合があります。また、子どもは、うがい・手洗いがまだ上手にできないので、ウイルスが残っており、家庭内で感染が広がる場合もあるでしょう。
感染予防のために、できることを教えてください。
予防には、マスクの着用・うがい・手洗いも有効ではありますが、ムンプスウイルスは、感染力がとても強いウイルスなので、積極的な予防には、予防接種が有効です。
予防接種を受ければ、万が一発症しても軽い症状で済みます。1回の予防接種では、免疫がつかない場合があるので2回接種を行ってください。
大人のおたふく風邪の症状(女性・男性)
どんな初期症状が出ることが多いですか?
潜伏期間は、2~3週間です。初期症状は、耳下腺の違和感や、飲食をしたり、酸っぱいものを飲んだりすると耳下腺に痛みを感じるようになる人がいます。
発症すると、どんな症状がでるのでしょうか?
おたふく風邪を発症すると、耳下腺や額下腺、舌下腺といった耳の周り・あごの下・舌の周りなどに腫れが生じます。高熱がでる人も多くいます。発熱は2〜3日程度、痛みのピークは腫れが出てから数日間となるでしょう。
症状には個人差があり、熱がさほどでない場合や腫れが弱い人もいます。また、感染しても症状が現れない(不顕性感染)人も多く、30〜35%程度あるとされています。(NIID国立感染症研究所発表)
女性の症状
女性ならではの症状はありますか?
稀に卵巣炎を合併症で発症します。下腹部痛や吐き気、不正出血などを伴います。卵巣炎とは、病原体が子宮経管から卵管に感染して炎症が起きる病気です。不妊症につながる恐れがあるため、該当症状がある場合は、すぐに婦人科を受診しましょう。
妊婦がおたふく風邪に罹患すると、どんな危険性がありますか?
妊娠早期で感染した場合、流産の危険性もあります。免疫があるか検査した上で、免疫がない女性が妊娠を望んでいる場合は、予防接種を受けましょう
妊娠中におたふく風邪かもと思ったら、かかりつけ医を受診し、体調管理の指示や薬の処方を受けましょう。
男性の症状
男性ならではの症状はありますか?
精巣に炎症が起きる病気「精巣炎」を発症する場合があります。現れる症状は、急激な精巣の痛み・腫れ・発熱・倦怠感など。
すぐに回復した場合、不妊の原因となることは稀です。しかし悪化させると不妊症の原因となる場合があります。
病院は何科に
これらの症状が現れた場合に病院を受診するには、何科に行けばいいでしょうか?
男性か女性かによって受診する診療科が違います。
男性:泌尿器科
女性:婦人科
妊婦:かかりつけの産婦人科もしくは婦人科
をそれぞれ受診してください。
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