「赤ちゃんのいびきがうるさくて心配・・・。」
「たまにいびきをかく程度なら大丈夫なのかな?」
赤ちゃんとは無縁とおもっていた“いびき”。心配になりますよね。
なごみクリニック
院長:武井智昭 先生
小児科専門医・指導医
日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)
臨床研修指導医(日本小児科学会)
抗菌化学療法認定医
枕の選び方
「大丈夫ないびき」と「すぐに対処すべきいびき」
少しくらいのいびきは大丈夫なのでしょうか?
赤ちゃんは、基本的には鼻呼吸をしています。しかし、生後1か月ほど経過すると、全体的に肉付きがよくなり、鼻の空気が通る道も肉付きがよくなって狭くなります。それにより、いびきをかく場合があります。
このような状況でも、元気にミルクを飲み、眠れていればさほど心配しなくても大丈夫と考えられています。
病院に行ったほうがいい「赤ちゃんのいびき」には特徴がありますか?
次の3つのどれかに当てはまる場合は、一度病院を受診してください。
1. いびきの途中で呼吸が止まる
2. 激しいいびきをかく。
3. 睡眠中に息苦しそうにいびきをかく。
赤ちゃんの命に直結する「危険ないびき」の症状はありますか?
どんな病気がひそんでいるのでしょうか。
乳幼児突然死症候群(SIDS)
健康状態に問題がないと思われていた乳幼児が、原因不明のまま睡眠中に突然死してしまうことです。睡眠中の呼吸停止が原因の一つと考えられています。
いびきが進行して息が止まる状態(無呼吸)になると、乳幼児突然死症候群を引き起こす原因になる恐れがあると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群
いびきが激しく、呼吸が度々停止している場合や、呼吸が10秒以上止まってしまう場合は早急に医療機関を受診してください。子どもの睡眠時無呼吸症候群では、呼吸がピタリと止まるのではなく、いびきをかきながら呼吸が止まる状態になるケースが多く、発見が遅れやすいので注意が必要です。
また、陥没呼吸(通常では息を吸うと胸部、腹部が膨らむが、腹部は膨らむのに、胸部が陥没する状態)がみられる場合は重症化している恐れがあるので要注意です。
赤ちゃんのいびきで病院を受診する場合、何科に行けばいいでしょうか?
耳鼻科や小児科を受診することをおすすめします。
赤ちゃんの成長への影響
いびきが赤ちゃんの成長に悪影響を与えることはありますか?
いびきが原因で深い睡眠ができなくなると、成長ホルモンの分泌が低下しやすくなり、発育や学力の遅れにつながる恐れがあると考えられています。
赤ちゃんのいびきの8つの原因
赤ちゃんのいびきの原因は、どういったことが考えられるのでしょうか?
風邪をひいている場合
赤ちゃんの鼻の穴はまだ小さいため、風邪をひくと鼻水が溜まりやすくなり、鼻詰まりを引き起こします。その結果、寝息が荒くなりいびきのようになる場合があります。
疲れている場合
いつもと違う行動(たくさんの人に会った、外出が長かった、遠出をした等)があった場合は疲れて、筋肉の緊張が緩くなりいびきが出る場合があります。一時的、その日だけならばあまり問題ないでしょう。
あごが小さくて下あごが後退している場合
子どもの顔の形状によって(もともと下あごが小さい、舌が大きい等)、いびきをかきやすい場合があります。
扁桃腺やアデノイドが大きい場合
眠りにつくと筋肉の緊張が緩くなります。すると、扁桃腺が息の通り道を塞いだり、狭くしたりするためいびきをかくと考えられています。この状態が悪化すると、無呼吸に陥る恐れがあります。
舌根沈下(舌が喉の奥に落ち込んでいる状態)の場合
真上を向いて寝ると舌根沈下になり、空気の通り道が閉鎖されて、いびきが出やすくなります。上気道閉塞によって、呼吸困難や窒息を起こすこともあるので、念の為医療機関を受診しましょう。
枕が高すぎる場合
枕が高くて合っていないと、眠っているときにあごを引く体勢をとるようになります。すると、気道が狭くなってしまい、いびきを生じることがあります。
小児の睡眠時無呼吸症候群
小児の睡眠時無呼吸症候群の場合、無呼吸の時間が10秒以上にならなくても、2回分の呼吸停止が確認できた場合に無呼吸と診断できるとされています。喉の扁桃組織の肥大が原因と考えられています。
また、いびきの悪化も無呼吸の原因になると考えられています。睡眠時無呼吸症候群に起因する、乳幼児突然死症候群の発生にも十分注意が必要です。
赤ちゃんのいびきの対策
赤ちゃんのいびきを防止したいです。どんな体勢で寝させるのがいいのでしょうか?
次の2つの方法を試してみてください。
1. 肩枕をする
赤ちゃんの肩の下に、程よい高さ(胸が軽く反るくらい)に折ったり丸めたりしたタオルを置きます。胸が反ることで、空気が通りやすくなります。
2. 顔を横に向けて寝かせる
舌根沈下は仰向けで寝ているときに起こりやすいため、横を向くと空気の通り道が確保できるため、いびきをかきにくくなるようです。
枕の選び方
いびきがひどい赤ちゃんに、どんな枕がおすすめなのかを聞いてみました。
傾斜がある枕
このタイプの枕は、鼻づまりや吐き戻しの予防にも適していると考えられています。
ドーナツ型の枕
このタイプの枕は、向き癖の改善に適していると考えられています。ただし、顔の位置が変わることで窒息しないように十分気を付けて使用してください。
タオルを使用する
枕ではなく、タオルを四つ折りにして枕代わりにするケースも多いようです。
赤ちゃんは枕を使用すると頭の位置が高くなり、呼吸がしづらくなる場合もあります。基本的には、1歳未満の赤ちゃんは枕を使用する必要はないとも考えられています。子どもの様子をみながら、必要に応じて枕の使用をご検討ください。
この記事は健康検定協会から「子育てエンジョイライフ」に提供されました。