暗い場所から急に明るいところへ移動したとき、また、夜間運転時の対向車などのヘッドライトを見たとき、目がまぶしいと感じられます。これは、誰もが感じるまぶしさです。
では、他の誰も感じていないのに、自分だけがまぶしいと感じているとしたら?
目のまぶしさの原因はさまざまです。ここでは、そこに潜んでいる病気の可能性について説明します。
執筆監修)院長:山内明子 先生 田町三田やまうち眼科
目がまぶしい…これって病気?
問題のない目のまぶしさとは?
目の中に入る光の量は、瞳孔と瞳孔のまわりにある茶色の部分である虹彩(こうさい)によって調節されています。
暗い場所では、虹彩が縮むことによって瞳孔を大きく開き、取り入れる光の量を増やします。また、明るい場所では、虹彩が伸びることで瞳孔を小さくし、光の量を少なくします。
暗い場所から急に明るい場所に行くと、強い光を受けるので「まぶしい」と感じますが、普通の光の量で痛みを感じることがない場合は、問題のないまぶしさといえます。
目に原因がないまぶしさ
突然、目の前にチカチカとした光が見えて、しばらく周りのものが部分的に見えなくなるといった経験はありませんか? これは「閃輝暗点(せんきあんてん)」とよばれる症状です。
片頭痛の前触れや脳梗塞の前兆として起こるといわれています。原因は目の異常ではなく、脳の血管の収縮が原因です。何度も起こる場合は一度病院を受診することをおすすめします。
病気が疑われる目のまぶしさ5つ
目がまぶしいと感じた場合、目の病気が疑われる原因はいくつかあります。
白内障
カメラのレンズのような役割をしている水晶体という部分が、加齢などによって白く濁ってくると、光が乱反射を起こします。
太陽の光や運転中の対向車のライトが異常にまぶしいと感じたり、目がかすんだりする症状が見られます。
ウィルス性結膜炎、角膜炎
結膜(白目の部分)や角膜(黒目の部分)に、細菌やウィルスが感染すると、炎症が起こります。結膜が赤くなったり、まぶたの裏側に湿疹ができたりして、目やにが増えます。
かゆみ、しょぼしょぼ感、ゴロゴロ感、まぶしい感じがしたり、見えにくいと感じたりすることがあります。
ドライアイ
長時間、強い紫外線を浴びたり、コンタクトレンズを装着し続けたりすることで、角膜に傷が付き、炎症が起こることがあります。
紫外線がドライアイを引き起こす原因になるといえます。目がゴロゴロしたりまぶしさを感じたりするなどの症状が表われます。
緑内障
緑内障は、眼圧が上がることで、目と脳を繋いでいる神経に障害が起き、視野が狭くなったり、見えない箇所が表われたりするなどの症状が出てきます。そのため、白っぽく見えたり、まぶしさを感じたりします。
ぶどう膜炎
サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病が原因疾患のことが多く、目の中の透明な部分と、硝子体に炎症性細胞が増殖します。
それにより、かすみ、虫が飛んでいるように見える、まぶしさを感じるといった症状が現れます。
自分でできる目のセルフケアは
瞳の色でまぶしさは変わる?
瞳の色は、人種によって茶色、黒からグレーやブルー、グリ―ンまで、さまざまです。その色は、日照時間や日射量などの差が関係しており、育った環境により異なると考えられています。
では、瞳の色によって、見える景色の色が違うのでしょうか? そんなことはありません。違うのは「まぶしさ」を感じる度合いです。
瞳の色が濃い(黒、茶色)と光を通しにくいので、まぶしさを感じにくいです。瞳の色が薄い(ブルー、グリーン)と、光を通しやすく、まぶしさを感じやすくなります。
サングラスはかけた方がいい?
ドライアイの原因にもなる紫外線対策として、サングラスが有効です。また、まぶしい光だけでなく、目に見えない紫外線も防いでくれます。なるべくUVカット率が高いものを選び、また用途によってレンズの色の選び方も工夫しましょう。
例えば、ブラウン系は青色の光をカットする効果があるため、ゴルフやウィンタースポーツに向いています。また、ブルー系は赤色の光を吸収するので、昼間の強い日差しや夜間の対向車のヘッドライトの光などを和らげてくれます。
ただ、サングラスの紫外線カットの働きには寿命があるため、おおよそ5年くらいで買い換えることをおすすめします。
サングラスとは異なりますが、遮光眼鏡というレンズもあります。もともとは網膜色素変性症の方のまぶしさ軽減のために開発された眼鏡ですが、現在はさまざまな疾患でのまぶしさ軽減のために用いられています。サングラスでは物足りない場合は遮光眼鏡がおすすめです。
目薬はするべき?
目がまぶしく感じている方の原因の一つとして、目が頻繁にピント調節を繰り返すことによる眼精疲労が考えられます。この場合、まぶしいという症状以外に、目が痛む、かすむ、涙が出る、頭痛、肩こりなどを伴います。
症状が軽度なら、目薬で症状が緩和するでしょう。しかし、目の疾患が潜んでいる場合もあるので、点眼に頼らず、一度、専門の医療機関を受診することをおすすめします。
まとめ
目がまぶしいなと感じるだけでは、なかなか病院へ行こうと思うきっかけにはならないかもしれません。
しかし、目は生きていくためにとても重要な器官の一つです。病気だった場合のリスクが高い箇所でもありますので、症状がすぐに収まらない場合や気になるときは、まず医療機関を受診し、原因を知ることが大切です。
執筆者:田町三田やまうち眼科 院長 山内明子先生