肩こりは、肩周辺の筋肉がこり固まったり、冷えたりすることで血液の流れが滞ることで起こります。長時間同じような体勢でいることで、肩や首に負担がかかり生じるケースが多く見られます。
症状を改善するためには、湿布を貼ることが手軽に行える方法として知られていますが、湿布にも「温湿布」や「冷湿布」などさまざまな種類があります。
どれを使用するのが適切なのか、肩こりに効果的な湿布についてご紹介していきます。
執筆:フェリシティークリニック名古屋
院長 河合隆志 先生
湿布の種類と効果は?
湿布には大きく分けて、患部を温める温湿布と患部を冷やす冷湿布があります。含まれている成分により温めたり、冷やしたりという違いが生じます。温湿布はカプサイシンなどの成分が多く配合されているため、患部が温められます。血行を促進して、慢性的な痛みを緩和する効果が期待できます。
冷湿布はメントールやカンフル、ハッカ油などの患部を冷やす成分が多く配合されています。温湿布とは異なり、急性的な筋肉の痛みなどを和らげる効果が期待できます。
温湿布も冷湿布も痛みを和らげる効果がありますが、その時の症状によって温めた方がいい場合と冷やした方がいい場合があります。
打撲やねんざなどの怪我は、怪我により炎症を起こしているため、熱を取るために怪我した直後は冷湿布が適しています。その後、炎症が治まってからは温湿布を貼って血行を促進させます。
肩こりのように慢性的に痛みがあり、血行が滞っているような場合には冷湿布ではなく温湿布の方が効果的です。筋肉痛や神経痛などの慢性的な痛みで、お風呂などで温めると痛みが和らぐような症状には、温湿布が適しています。
症状によって使い分けないと症状が悪化してしまうケースもあるので注意しましょう。
正しい湿布の貼り方と貼る時間
こりの範囲が広い場合には、肩だけでなく首にも貼ることで血行が促進され、痛みが緩和されます。さらに、痛みが酷い場合は肩甲骨や背骨、鎖骨にも貼るとより効果的です。
3~4時間程度で交換すると良いといわれていますが、製品によっても効果の持続時間は異なるので説明書や注意書きを読んでから使用するようにしましょう。
肩こりに効く外用薬について
肩こりには温湿布以外にローション、ゲル、スプレーなどがあります。湿布は効果が持続する点がメリットではありますが、肌に直接貼るため皮膚がかぶれたり湿疹がでる場合もあります。そのような場合は、ローションやゲル、スプレーなどを使用する方がおすすめです。
これらは比較的効果を早く感じることができますが、湿布に比べ効果の持続時間は短いので、その時の症状や体質に合わせて選びましょう。
湿布以外の肩こりの治療法
飲み薬
肩こりに効く薬は湿布や外用薬だけでなく飲み薬もあります。飲み薬は、筋肉の緊張をゆるめて痛みを和らげるものや炎症や痛みを軽減させるもの、筋肉の疲労を和らげて神経の機能を回復するビタミン剤などがあります。
その時の症状に併せて選びましょう。肩こりの痛みが酷い場合は、まずは痛みを抑えるために飲み薬を服用する方が有効な場合も多々あります。ただし、薬によっては眠くなる成分が入っている場合もあるので、飲むタイミングには注意が必要です。
運動療法
肩こりの原因にはさまざまなものがありますが、最も多い原因は長時間同じ姿勢で過ごすことによる血行不良です。そのため、姿勢をこまめに変えたり、血行を促進することで症状を緩和させる必要があります。
湿布や外用薬により温めることで血行を促進することも可能ですが、自分でストレッチなどの運動を行うことも大切です。ストレッチは筋肉をほぐし柔軟性を回復させることができるため、血液循環を促進させる効果が期待できます。
一度のストレッチだけではなかなか効果が得られないので、毎日少しずつ続けていくことが重要です。無理して行うと筋肉や腱を痛めてしまう可能性もあるので、無理のない範囲でゆっくりと行うようにしましょう。
まとめ
肩こりは、同じ姿勢で長時間作業したりすると誰にでも起こる症状です。そのため悩まされている人もたくさんいます。
日々のストレッチなどで少しずつ症状を改善していくことも可能ですが、痛みなどが強い場合は温湿布が適しています。即効性と持続性があるので、症状が酷い場合にはうまく活用しましょう。
ただ、湿布の場合は皮膚に直接貼るため、体質によっては肌がかぶれてしまってかゆみが起きることもあります。ローションやゲルなどの外用薬を併せて使用することも考えましょう。
執筆者:フェリシティークリニック名古屋 院長 河合隆志先生