赤ちゃんが中耳炎になってしまったら、一刻も早く気づいてあげたいもの。
この記事ではお医者さんに赤ちゃんの急性中耳炎のサインや、判断するためにママ・パパが知っておくべきことを聞きました。
病院は何科に行けばいいのか、保育園の登園はどうすればいいのかも解説してもらいました。
なごみクリニック
院長
武井智昭 先生
「気づかないうちになっていた!」なんてこともある赤ちゃんの中耳炎。
赤ちゃんが中耳炎になったらどんな行動をとるのか、どんな症状がでるのか、“判断基準”になる中耳炎のサインはあるのでしょうか。
中耳炎の3つのサイン
中耳炎サインとなるような、赤ちゃんの行動の特徴はありますか?
赤ちゃんが風邪をひいた後、次のような様子が見られたら要注意です。
中耳炎は、風邪(咳や鼻水・発熱などの風邪症候群)の後に起こりやすい疾患です。よくある赤ちゃんの行動としては
長い間機嫌がよくならない
耳を触って頭を降る
激しい夜泣きをする
といったようなものが見られます。
今回解説するのは、このような症状の出る急性中耳炎の場合です。
赤ちゃんの中耳炎の症状
中耳炎の症状を教えてください。
・耳の痛み
・耳の閉塞感
・発熱
・耳だれ
といった症状が現れます。
熱は、高熱・微熱と両方、痛みも強い・弱いと両方のパターンがあります。
痛みは、特に夜中に強くなりやすいという傾向があります。
赤ちゃんの中耳炎の対処法
基本の対処法
まずは、病院を受診し治療を開始してください。
早く治すために、ママ・パパは可能な範囲で鼻水を取り除いてあげましょう。
鼻水の吸引や鼻洗浄は、鼻の中の細菌を取り除き、耳管の機能を改善するのに役立ちます。薬局やドラックストアで購入できる鼻水吸い器で、鼻水を小まめに吸ってあげましょう。
心配であれば、医療機関を鼻汁吸引するために受診することもできます。
痛みのやわらげ方
赤ちゃんの痛みを和らげる方法はありますか?
痛み止め(鎮痛剤)を使うのがよいのですが、痛み止めが無い場合は、耳の周りを氷のうや冷却グッズでしばらく冷やしてあげましょう。
自然に治る?
自然治癒について
赤ちゃんの中耳炎は自然治癒するものなのでしょうか?
軽症であれば自然治癒する場合もあります。
中耳炎の放置はNG
赤ちゃんの中耳炎を放置したら、どんな危険がありますか?
急性中耳炎を悪化させて無治療となる場合、滲出性中耳炎になってしまう場合があります。
滲出性中耳炎は、急性中耳炎や風邪が原因で、耳の奥に液体がたまる病気です。滲出性中耳炎の主な症状は、声の聞こえが悪い(難聴)などであり、子どもは自分では気がつきません。ママ・パパが赤ちゃんの様子を観察して、気づいてあげる必要があります。
<こんな場合は滲出性中耳炎かも>
長い間機嫌がよくならない
耳を触って頭を降る
激しい夜泣きをする
呼びかけても反応がない
難聴になってしまうと、言語発達の遅れや学習上のリスクとなります。急性中耳炎だとわかったら、医師に通院しなくて良いと言われるまで治療を受けましょう。
病院の受診する場合は?
何科に行くべき?
赤ちゃんの中耳炎で受診する場合、何科に行けばいいでしょうか?
小児科または、耳鼻咽喉科を受診してください。
赤ちゃんの中耳炎の治療法
どういった治療をするのでしょうか?
症状が軽い場合は、痛み止めを処方します。
悪化している場合は、抗生剤の使用や鼓膜切開を行います。
軽症であれば、痛み止めを処方し様子を見ます。その後、快方に向かわない・悪化している場合は、抗生剤を使用します。それでもよくならない場合は、薬の量を増やすか、抗生剤の変更、が行われます。また、鼓膜を切開し膿を出してしまうと早く快方に向かうので、鼓膜切開が行われる場合もあります。
日本には、「子どもの急性中耳炎診療ガイドライン」というものがあり、軽症・中等症・重症に分類し、所見・症状を点数化して診療に使用されています。
保育園は行ってもいいの?
保育園は行っても問題ありません。ただし、熱や痛みがある場合は休みましょう。
中耳炎は、うつらないので、耳だれがあっても保育園には行けます。熱が高い・耳の痛みが強い場合は、休ませてあげましょう。
プールはNG?
治るまで、プールはNGです。
中耳炎が快方するまでは、プールは入らないでください。プールの水は、消毒薬を使っているので粘膜を傷つけ治りが悪くなります。
再発防止のためにできること
中耳炎を繰り返さないために、ママ・パパはどんなことに気をつけたらいいでしょうか?
赤ちゃんが風邪をひいた後は、中耳炎のサインがないか確認してください。また、赤ちゃんの近くでのたばこは控えましょう。
風邪の後は、中耳炎を発症していないか耳鼻科や小児科で確認し、早めに治療を受けましょう。
体大きくなるにつれて徐々に中耳炎は、発症しにくくなります。ママ・パパは、焦らず、嘆かず子どもの痛みに寄り添ってあげてください。
また、周りにタバコを吸っている人がいると、子どもの耳と鼻を結ぶ管(耳管)の力を低下させ風邪の症状を長引かせ中耳炎の原因を作ります。子どものためにも禁煙をしましょう。
この記事は、健康検定協会から「子育てエンジョイライフ」へ提供されたものです。
参考
育育辞典 病気編/著:毛利子来、山田真(岩波書店)