血尿を伴う膀胱炎には急性膀胱炎と出血性膀胱炎があり、それぞれ原因と治し方が異なります。
自然治癒や市販薬での治療が可能な場合、病院を受診した方が良い場合について、医師が詳しく解説します。
膀胱炎の血尿の特徴
膀胱炎による血尿には、下記のような特徴があります。
膀胱炎の場合の血尿は、肉眼的血尿のケースが多く、目で見て赤いと判断できる尿が出る。
ほんの少し赤く見える血尿から、血の塊が混入している血尿までみられる。
血尿がみられる膀胱炎の場合、多くのケースで頻尿、排尿痛、残尿感を伴う。
膀胱炎で血尿が出るのはなぜ?
血尿の原因
膀胱は血流が多い臓器で、膀胱壁にたくさんの細い血管が巡っています。
その細い血管が、感染や薬剤、放射線等の影響によりもろくなり出血しやすくなると考えられています。
また、尿を生成している腎臓や、尿が通過する尿管、膀胱、尿道で炎症や傷が生じた場合も血尿が起こる可能性があります。
血尿が伴う膀胱炎
急性膀胱炎
大腸菌等の細菌が膀胱内に入り込み炎症が生じる疾患です。
膀胱の内側表面は、柔らかい粘膜でできており、その粘膜が膀胱炎の発症によって炎症を起こし、症状が悪化すると出血して血尿が起こる可能性があります。
出血性膀胱炎
出血が起こる膀胱炎で、尿の中に血が少し混ざっているというよりは、尿全体が均等に赤く見える状態の血尿が見られます。
血尿にくわえて、排尿痛、頻尿、残尿感を伴うケースが多いです。
症状が軽い場合は、肉眼では確認できないほどの出血ですが、中等度になると肉眼で確認できる出血になり、重症化すると血の塊が生じる場合もあります。
血尿が悪化すると、膀胱タンポナーデ(膀胱内に血液の塊が生じて排尿が困難になる)に陥る恐れがあります。この場合には、一刻も早い処置が必要になります。
出血性膀胱炎は、医薬品により発症するケースもあります。
原因として考えられる医薬品
抗がん薬(シクロホスファミド、イホスファミド)
抗アレルギー薬
免疫抑制剤
抗生物質等
その他、出血性膀胱炎の原因となること
放射線治療を受けた経験がある場合
高齢の方
神経因性膀胱の場合
糖尿病の場合
尿路結石の場合
肝機能障害の場合 等
特に女性が多く発症するって本当?
女性は男性より尿道が短いため、尿道へ細菌が入りやすく、発症しやすい傾向にあります。
そのため、血尿を伴う急性膀胱炎は、比較的女性に多くみられると考えられています。
この記事の続きには
自然治癒は?/市販薬の使用はOK?/病院で受ける治療について/膀胱炎が治るまでの過ごし方 などを掲載しています。