人間の体には血液を循環させるための血管が走っていますが、血液と同様に全身を循環する流れに「リンパ液」があります。リンパ液は体中を巡り、病原体から体を守るなどの仕事をします。今回は「リンパ系の役割と仕組み」について医療法人小田原博信会 理事長、医学博士-健康検定協会の岡村信良先生からお話を伺いました。
■「リンパ系」の役割と仕組みを知っておきましょう!
全身を流れる「リンパ液」、リンパ液を流すための「リンパ管」、リンパ管が合流する所にある「リンパ節」から成るネットワークを一般に「リンパ系」と呼びます。
リンパ系の仕事は主に以下の3つになります。
①病原菌・毒素を撃退する
②老廃物を運ぶ
③栄養分を運ぶ
リンパ液は毛細血管から染み出た血漿(けっしょう)がリンパ管に流入したものです。リンパ液はリンパ管の中を流れ、最後には血管に流れ込み、心臓、動脈を経由して毛細血管へ運ばれ、再びリンパ管に流入、というコースで全身を循環しています。
リンパ液の中には「リンパ球」が含まれています。リンパ球は骨髄で作られますが、毛細血管から染み出してリンパ管に入り、リンパ系を流れるのです。
リンパ球は、体外から侵入してきた微生物を識別し、攻撃できる「抗体」を作ります。一度接触した微生物の性質を記憶し、それを引き継ぐシステムも持っています。そのため、再度侵入した微生物があると、「アイツだ!」とその微生物用の抗体を作ることができるのです。これが「免疫」の仕組みです。
リンパ管の要所要所にあるのがリンパ節。リンパ節は豆状の形をした組織で、これはリンパ液を漉(こ)してきれいにするフィルターの役割をします。リンパ管を流れてきた、病原体や体の老廃物などをここで漉し取るのです。
また、リンパ節はリンパ球を一時的に蓄える役割もします。リンパ球はここで分裂して増え、体内に入った病原菌や毒素と戦います。全身に約800カ所もあるリンパ節は、体を防衛するための前線基地でもあるのです。
続きには、リンパが腫れるとは?を詳しく解説しています。
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