「ペニシリン」の発見は人類史上に残る偉大なものです。抗生物質が医療現場で用いられるようになったおかげで、細菌による重篤な感染症に対抗できるようになったのです。しかし、現在では「抗生物質が効かない細菌」が不気味に広がりつつあります。
今回は「抗生物質が効かない細菌」について医療法人小田原博信会 理事長、医学博士-健康検定協会-岡村信良 医師に詳しく解説頂きました。
■細菌も進化する! 抗生物質が効かない!?
ペニシリンをはじめ、現在では多種多様な抗生物質が使われています。抗生物質は細菌による感染症を治療するための「決定打」なのですが、実は大きな問題が持ち上がっています。
抗生物質に対して「耐性」を持つ細菌が登場しているのです。
細菌も生物ですから、生き残るために進化・変異していきます。ある抗生物質を投与してほとんどの細菌が駆除されても、中に生き延びるものがあれば、その耐性が後代の細菌に遺伝して引き継がれます。薬剤耐性を持つ細菌は、ほかの細菌が死滅する中、生き延びてその勢力を拡大するのです。
現在では多くの薬剤耐性を持つ細菌が知られています。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)