一日活動して夜帰宅すると、足がむくんで朝より膨張しているように思えることがあります。
通常足のむくみは左右両方に表れますが、片足だけむくむ場合は「下肢静脈瘤」などの病気も考えられます。
この記事では片足だけにむくみが起こる原因と解消法、病気の可能性について、荒牧内科 院長:荒牧竜太郎 先生よりご解説いただきました。
●むくみの仕組み
まずむくみはどのようにして起こるのか、メカニズムをみていきましょう。
1.血液循環が滞るとむくみが起こる
人の体は血液循環を繰り返しており、心臓から送り出された血液は全身を巡って再び心臓に戻ってきます。
中でも足は心臓から離れているため、その血液を戻す際には大きな力が必要となります。
しかしこの機能が正常に働かないと、心臓に戻せなかった血液や余分な水分がふくらはぎの周辺にたまり、むくみとなります。
●足は第2の心臓
「足は第2の心臓」と呼ばれるほど、血液循環において重要なはたらきをしています。
心臓から血液が送り出されるときは鼓動がポンプの役割を果たしていますが、足から心臓に血液を戻すときはその役割をふくらはぎの筋肉が担います。
しかし長時間同じ姿勢でいたり立ちっぱなしだったりすると、重力がふくらはぎの筋肉に負担をかけ、血液循環が滞ります。
2.塩分やアルコールもむくみを起こす
塩分やアルコールの摂りすぎもむくみを引き起こします。
●塩分がむくみを起こすメカニズム
塩分には水分を抱え込む性質があります。
そのため塩分を摂りすぎると余分な水分を排出しきれず、ためこんでしまうことでむくみが起こります。
●アルコールがむくみを起こすメカニズム
アルコールの場合は逆で、利尿作用がはたらくことで体内の水分が失われていきます。
これによって血液の濃度が高くなり(=血液が濃くなり)、体は血液を薄めるため血管内に水分を摂りこむようになります。
そのためアルコールを摂りすぎると、利尿作用のはたらきとは裏腹に、体内に水分がたまってむくみが生じます。
●片足だけむくむ原因
足のむくみは両足に表れるのが一般的ですが、何らかの病気が原因となっている場合、左右どちらかにむくみが表れることがあります。
考えられる病気としては下記の通りです。
1.下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)
静脈内で血液が逆流している状態です。
静脈には血液の逆流を防ぐために「逆流防止弁」というものがありますが、この弁が遺伝要素や過度な立ち仕事など、何らかの理由で機能しなくなると血液の逆流が起こります。
すると静脈内の圧力が高まることでその部分が膨れ上がり、血管の盛り上がりやむくみが表れます。
●放っておくとどうなる?
放っておくと、足のつりや色素沈着、潰瘍、出血などの症状となってあらわれます。
2.エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)
飛行機など長時間足を動かせないような環境下では、足の静脈に血栓(血の塊)ができやすくなります。
血栓ができると血液循環に支障が出るため、むくみが起こります。
●放っておくとどうなる?
放っておくと、静脈の血栓が歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血液の流れに乗って肺に到着し、肺の動脈を塞いでしまい、死に至ることもあります。
この記事の続きには、「片足のむくみの治療について」「何科を受診したら良い?」「治療方法」「むくみの解消法」などをご紹介したいます。ぜひ、ご覧ください。
この機会に健康検定にチャレンジしてみよう!
練習問題はこちら→→「4級にチャレンジ!」「3級にチャレンジ!」「2級にチェレンジ!」「準1級にチャレンジ!!」「1級にチャレンジ!!!」