7月頃から増加傾向がみられる感染症のひとつに「RSウイルス」があります。呼吸器系の感染症で、軽い鼻かぜのような症状の場合もあれば、発熱し、ひどい咳が続く場合もあります。特に乳幼児は症状が重くなるために注意しなければなりません。このように、症状に違いがあるのはなぜなのでしょうか?今回はこの「RSウイルス」について、医療法人小田原博信会 理事長、医学博士 岡村信良先生よりご解説いただきました。
■「RSウイルス」には誰でも一度は感染する!
呼吸器にRSウイルスが感染する病気を、「RSウイルス感染症」といいます。例年7月頃から感染者数が増加し、冬に流行のピークを迎えることが多いです。
RSウイルスの特徴は、以下のようなものです。
●2歳までにほぼ100%の人が感染する
生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の人が、少なくとも一度はRSウイルスに感染するといわれています。感染症によっては、一度感染すると体内に抗体ができて再発しない(とされている)ものもありますが、RSウイルスは何回も感染・発症します。
●初めて発症したときは症状が重い
RSウイルスには、上記のように2歳までにほぼ全ての人が感染します。そして、初めて感染・発症したときは症状が重くなりやすいといわれています。特に生後数カ月までに感染した場合、細気管支炎や肺炎などの重篤な症状を引き起こすことがあります。
RSウイルス感染症は感染を繰り返すうちに耐性が付き、感染・発症したときの症状が軽くなります。このため、成人の場合は一般的な「風邪」と判断してしまうことがあります。
●RSウイルス感染症の症状
RSウイルス感染症は、ウイルスに感染してから2-8日(典型的には4-6日)の潜伏期間の後に発症し、以下のような症状が見られます。
発熱
鼻水
咳
喘鳴(ぜいめい)
呼吸困難
多くの場合それほど重い症状は出ませんが、重症化すると喘鳴や呼吸困難を起こすことがあります。喘鳴とは呼吸時に「ぜいぜい」と音がする症状です。
成人の場合は「感冒様症状」といって一般的な風邪の症状とされる発熱、鼻詰まり、咳などが見られるだけで済むことが多いのですが、RSウイルス感染症の子供を看病する保護者や医療関係者が感染すると症状が重くなることがあります。これは、症状が重い子供によって大量のウイルスにさらされるためと考えられています。
●RSウイルスの感染経路
RSウイルスは以下のような経路によって感染しますが、『厚生労働省』によると「空気感染」するという報告はないとされています。
・感染者の咳やくしゃみによる「飛沫(ひまつ)感染」
・感染している人に直接接触することによる「接触感染」
・感染者が触った物品(ドアノブなど)からの間接的な「接触感染」
この記事の続きには、「RSウイルスの予防法」「RSウイルス感染症の治療」などの重要な情報が盛りだくさん。ぜひご覧ください!
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