web「健康ぴた」に健康検定協会公認ライター医療法人 小田原博信会 久野銀座クリニック
理事長:岡村信良 先生ご執筆の記事が掲載されました。(2019,3月掲載記事)
===以下記事より抜粋===
鼻水や目のかゆみといった花粉症の症状でお困りの方も多いと思いますが、それとともに気を付けたいのがPM2.5です。
2月~4月ぐらいにピークを迎えるPM2.5とは、大気中に浮遊する微小な大気汚染物質のことです。PM2.5を吸い込むことで肺の奥深くまで入り込み、呼吸器や循環器に影響が出るといわれています。
PM2.5が身体にどんな影響を及ぼすのか、またその対策について、医療法人 小田原博信会の理事長であり、久野銀座クリニックの院長・岡村信良先生に伺いました。
PM2.5による健康への影響
PM2.5 の大きさはわずか2.5㎛(マイクロメートル 1㎛=1㎜の1000分の1)しかありません。これは髪の毛の太さの30分の1程度の大きさです。また、スギ花粉の10分の1ほどです。
こんなに小さな物質が私たちの健康に悪影響を及ぼすのです。
PM2.5による悪影響
お子さんがいる家庭では要注意
PM2.5の健康被害について心配する方は多いと思います。
岡村先生は「PM2.5 を吸い込むと、肺の奥まで入り込み、細胞を傷つけ炎症を引き起こします。特に、呼吸器や循環器病などの危険因子となります」と健康への悪影響について説明します。
呼吸器病では、慢性閉塞性肺疾患や慢性気管支炎、肺気腫など、循環器病では高血圧や虚血性心疾患、不整脈、心不全などが考えられるようです。また、肺がんや既存のアレルギー症状の悪化なども考えられます。
お子さんがいる家庭では、親は子どもがPM2.5を吸い込むことのリスクについても懸念されるでしょう。
「特に子どもは、肺も未発達のため影響を受けやすいといえます。長い間、PM2.5 の濃度が高いところで生活をしていれば、将来的に呼吸器疾病や、気管支喘息、肺がんなどのリスクを背負うことになります」(岡村先生)
花粉症とPM2.5 の関係
ここで、花粉症とPM2.5の関係について説明していきます。花粉症の人はPM2.5 の影響を受け、症状が悪化する可能性があるようです。
岡村先生によると、「PM2.5は急性の症状で、喉・呼吸器に症状が現れます。そのため花粉症(アレルギー)や気管支喘息を持っている人は症状の悪化を感じます。
さらに、喉の違和感や気管支炎などを発症しやすくなります」とのことです。
家庭で発生するPM2.5と注意点
PM2.5はとても身近なところでも発生します。家庭では調理やストーブ、たばこの煙といったことが原因になります。
そうなると、わたしたちはどのようなことに注意して暮らしていけばよいでしょうか? 特に小さな子どもに対して親はどのようなことに配慮するべきなのか、日常生活でPM2.5 を吸い込まないためのアドバイスをいただきました。
「お子さんのいるご家庭では、子どもへのうがい・手洗いの徹底とPM2.5に対応した空気清浄機の設置がおすすめです。しかし、これでも完全に防御はできないと思っておいたほうが良いでしょう」(岡村先生)
やはり基本は、うがい手洗いの徹底が有効です。家の中だからといって安全だとはいい切れないようです。
PM2.5の対策としてすべきこと
PM2.5の対策として、外出の際は注意しておくことが大切です。もちろん、子どもを外で遊ばせるときも同じです。
マスクの着用が大切
「高濃度のときには外出を避ける方が無難です。難しいときは必ずマスクを着用しましょう。マスクは、機能や性能によってフィルター能力に差があります。しっかりと確認をしてから購入することをおすすめします。
もしも子どもがマスクを嫌がるようであれば、うがいと手洗いを徹底させることが大切です」(岡村先生)
マスクには、医療用のほかに、産業用の高性能な粉塵マスクがあり、微粒子の吸入を減らす効果が高くなっています。
また、空気清浄機はフィルターの有無や性能などの機種によって効果が変わってくるので、PM2.5の対策として使うのであれば、購入の際に販売店やメーカーに確認すると良いでしょう。
「激しい運動はPM2.5 を多く吸い込みます。屋外での長時間の激しい運動は控えましょう。室内で遊ぶのであれば、換気は最小限にしましょう」(岡村先生)
換気をすることで部屋の空気を浄化でき、子どもが元気に外遊びをする姿を見られたのは、ひと昔前のことかもしれません。
また、この時期の換気は、かえってPM2.5や花粉、黄砂などを室内に呼び込んでしまうことになるので注意が必要です。また、洗濯物も室内干しにすることをおすすめします。
PM2.5による健康被害にはカレーが有効!?
意外な食材が、PM2.5によって引き起こされる呼吸器疾患や循環器疾患の原因となる炎症反応を抑える効果があることが、ある研究結果で明らかとなりました。
それは、市販のカレー粉に含まれている「グローブ」「ウコン」「コリアンダー」「シナモン」の4種類のスパイスです。
これらのスパイスを上手に摂取することでPM2.5による疾患を防ぐことができるのか、岡村先生はこう話します。
「スパイスが炎症作用を抑えてくれる証拠がはっきりすれば、薬の開発はもちろん、お茶やサプリメントなどでも摂取が可能になります。
しかし、今のところ研究段階にあり、はっきりとしたことはいえません」
それでも、研究成果が順調に進めば、新しい取り組みとしてスパイスを用いた対策が生まれる可能性があります。
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【参考】カレー粉にPM2.5の炎症反応を抑える効果が ハウスと京大の共同研究(財経新聞)
【参考】PM2.5分布予測 日本気象協会