RSウイルスに感染して、咳が治らない・・・。どうすれば?
咳が続くときの対処法や、治るまでの期間の目安など、荒牧内科の荒牧先生に聞きました。咳からの感染を予防する方法や、市販薬の服用についても解説いただいたので、参考にしてください。
監修者
荒牧内科
院長:荒牧竜太郎先生
【職務経験】
福岡大学病院
西田厚徳病院
1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
RSウイルスに感染してからひどい咳をしています。うちの子は大丈夫でしょうか?
1歳を過ぎた幼児・大人の場合は数日~数週間で自然治癒することが多いですが、1歳以下の子どもの場合は注意が必要です。「ヒューヒュー・ゼイゼイ」する咳、胸がペコペコ凹む呼吸をしている場合は病院を受診してください。
RSウイルスには、治療に有効な抗ウイルス薬がないので自然治癒を待つことになります。咳も数日〜数週間で経てばよくなることが多いです。
ただし、RSウイルスは、発症した月齢・年齢によって重要視するべきかが変わります。
1歳を過ぎて感染した場合
1歳を過ぎていれば、多くの場合は重症化するリスクは軽減できていると考えられます。幼児や大人の感染は、多くは鼻水や軽い風邪症状を引き起こす程度のウイルスです。
1歳以下の子どもが感染した場合
1歳以下の子どもの場合、重症化することもあります。
咳の他に、
・「ヒューヒュー・ゼイゼイ」といった喘鳴
・顔色が悪い
・胸がペコペコ凹む呼吸をしている
といった症状がある場合は、すぐに病院を受診してください。
特に、3ヶ月未満の赤ちゃんや早産児や低体重で生まれた子ども、心臓や肺に疾患がある子どもは注意が必要です。無呼吸・チアノーゼなどの症状をひきおこす場合があります。
咳はいつまで続くもの?
2週間以上続く場合は早急に病院を受診してください。
RSウイルスによる咳は、通常の風邪と同様なので、他の風邪症状と同じに徐々に良くなっていきます。しかし、咳には注意が必要な場合もあり、肺炎・気管支炎を発症する場合もあります。咳が2週間以上止まらない場合は、早急に小児科・内科・呼吸器内科を受診しましょう。
咳が長引く原因
咳が治らず、ずっと長引いています。原因として考えられるものと、対処法を教えてください。
気管支炎を起こしている可能性があります。
気管支炎とは、気管支に炎症があり、咳や痰などの呼吸器症状を引きおこす病気です。急性に起きる気管支炎の原因は、ウイルス疾患の時やマイコプラズマなどによる感染症、一般の細菌感染なども考えられます。
お家でできる、咳の対処法
咳がひどく、かなり苦しそうです。どういった処置をしてあげたらいいのでしょうか?
お部屋の加湿や温かい飲み物など、通常の風邪と同様の対応をしてあげましょう。
咳が出る場合は、部屋を加湿してあげましょう。また、温かい飲み物も咳症状を和らげます。飴が舐められる年齢であれば、のど飴も喉を楽にしてくれます。
食べ物のおすすめ
喉が痛くて食べ物が食べられない場合、どういった食べ物がおすすめですか?
ゼリーやプリンなど、刺激の少ないものを食べてください。
喉が炎症を起こしている際には、刺激の少ない柔らかいゼリーやプリン、ハーブティーやのど飴がおすすめです。味の濃いもの・刺激物・辛いもの・香辛料の強いものは避けましょう。
咳からの感染
咳から感染することはありますか?
咳や鼻水を浴びると感染することがあります。
RSウイルスの主な感染ルートは、飛沫感染・接触感染です。患者の鼻水や咳を浴びたり、触ったりすると感染します。
予防法
予防のためにできることを教えてください。
マスクをして、手洗い・うがいを念入りに。
RSウイルスは、予防注射や薬では予防できません。
咳や鼻水を出している家族がいる場合、自己の体力が低下しない様食事や睡眠を十分にとり、マスクを着用し、うがい手洗いをいつも以上に念入りに行い予防しましょう。
市販の咳止めは、飲んでもいいのでしょうか?
市販薬は飲んでも大丈夫ですが、経過を見ましょう。
市販薬を飲んでも構いませんが、市販薬を使用しても咳がよくならないようであれば、早めに病院を受診しましょう。長引く咳は、その後の細菌の混合感染や肺炎や気管支炎を起こしている可能性があります。
病院を受診するとき
病院は何科?
RSウイルス感染症になったら何科にいけばいいのでしょうか?
子どもは小児科、大人は内科もしくは呼吸器内科です。
15歳以下のお子さんは、小児科を受診してください。大人の方は、内科・呼吸器内科を受診しましょう。長引く咳や違和感を持つ咳は、早めに医師に相談しましょう。
治療法
どんな治療法なのでしょうか?
特効薬はありません。症状をやわらげる対症療法です。
RSウイルスには抗ウイルス薬はありません。自然治癒を待ち、症状をやわらげる対処療法となります。
薬は、熱が高いようであれば、解熱剤・咳には、咳止めや気管支の炎症を和らげる薬の処方など・痰には、去痰薬などが処方されます。
こちらの記事は、健康検定協会から「子育てエンジョイライフ」に提供されたものです。
参考
RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html
保育所における感染症対策ガイドライン – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
こどもの病気治療の本当のこと“Dr.365”のこどもの病気相談室 著/白岡亮平(小学館)