生後4か月ごろから1歳ごろまでの赤ちゃんから幼児に多く発生する病気「突発性発疹」。初めての発熱が突発性発疹だったという赤ちゃんは大勢います。
この記事では「突発性発疹の感染」について小田原銀座クリニックの長谷川先生にお話をうかがいました。感染期間はいつからいつまでなのか、どうやって予防するのか聞いたので、参考にしてみてくださいね。
監修者
小田原銀座クリニック
長谷川佳子先生
【略歴】
2012年 北里大学医学部医学科卒業
2012年 横浜市立大学附属病院 初期臨床研修医
2013年 横浜市立大学 市民総合医療センター 初期臨床研修医
2014年 横浜市立大学附属病院 形成外科 入職
2015年 藤沢湘南台病院 入職
2016年小田原銀座クリニック 美容皮膚科
突発性発疹は感染力の弱いウイルスによるものですが、生後6ヶ月ごろの赤ちゃんは感染しやすくなっています。
突発性発疹はヒトヘルペスウイルスによる感染症です。赤ちゃんの場合、生まれた当初は母親からの免疫がありますが、1ヶ月くらいから免疫が落ちていきます。6ヶ月以降の赤ちゃんは感染しやすい状況です。
感染期間はいつからいつまで?
感染に気をつける期間はいつからいつまでなのでしょうか?
発熱の症状がでると、感染力が上がります。
感染力の弱いウイルスなので、潜伏期間にはほとんどの場合はうつりません。発熱時には高い感染力を発揮します。家族に小さな兄弟がいるようであれば、発熱時は別の部屋で寝かせる・同じおもちゃを共有させないなどの工夫が必要です。
感染期間はいつまで続きますか?解熱後も感染するのでしょうか?
熱が下がれば、感染力は下がります。
発熱がおさまってしまえば、ウイルスの感染力はまた弱くなります。
ただし、このウイルスに感染しても症状が出ない子どもも(不顕性感染)いるといわれています。不顕性感染の場合でも感染させてしまうことはあるため、注意が必要です。
感染経路
経口感染の可能性が高いです。よだれ・くしゃみに注意してください。
感染経路はまだよくわかっていません。
しかし、唾液からの経口感染の可能性が最も高いと推測されていますので、よだれ・くしゃみは注意してください。
子ども同士はうつりやすいんですか?
1歳以下の子ども、抗体をもっていない子どもは感染しやすいです。
病原体ヒトヘルペスウイルスは大変弱く、集団感染は起こらないことが多いです。
感染症発生動向調査を見ると、報告症例の年齢は0歳と1歳で99%を占めています。4歳以降の子どもも、ほとんどの場合が抗体をすでに持っており、うつらないと考えられています。突発性発疹を発症したことがない4歳未満の兄弟であればうつる可能性があります。
子どもから親にはうつりますか?
大人が感染することはほぼありません。
大人はすでに突発性発疹の抗体ができているのでうつることはありません。
再感染することはありますか?
2度発症する赤ちゃんもいます。
まれにヒトヘルペスウイルス「6型」と「7型」の2種類のウイルスに別々に感染し、2度発症する赤ちゃんもいます。
感染予防のためにしたほうがいいことを教えてください。
唾液からの経口感染に注意しましょう。
例えば、なめたおもちゃの共有は避けましょう。
ただし、予後も良好な病気のため、無理に予防を考える必要はありません。一度かかってしまえば、免疫ができます。
保育園の登園はOK?
熱が下がって1日以上たっていて、食欲もあり元気があれば登園OKです。
厚生労働省による「保育所における感染症対策ガイドライン」には、登園の目安を「解熱後1日以上経過し、全身状態が良いこと」となっています。
突発性発疹を発症したら、熱が完全に下がって1日以上たち、食欲もあり元気のある状態であれば登園しても良いでしょう。
保育園のプールは?
プールは入ってもいいですか?
熱が出ていなければOK。ただし子どもの体力が十分に戻っていることを確認しましょう。
突発性発疹は、熱が出ている時以外はうつる可能性は低いので、発疹が出ていてもプールには入れると言えます。しかし、プールやお風呂は思っているよりも体力を奪われます。赤ちゃんは、元気に見えてもまだ疲労が残っている場合があります。プールには、十分に体力が戻ってから入れましょう。
登園の際に気をつけること
解熱後も、体力が完全に回復するまでは様子を見ましょう。
発熱時を避ければ人にうつることも少ないので、登園も出来ます。しかし、外の世界は大人が思っている以上に赤ちゃんにとって刺激が強く疲れます。元気が戻ってくるまでは、ゆっくりお家で過ごしましょう。
突発性発疹の注意すべき症状
突発性発疹のよくある症状
突発性発疹の症状は、38~40℃前後の高熱が3日間程度続き、下がったと思ったのと同時に腹部、背中などを中心に赤い発しんが出ます。この発疹は全身に広がりますが、かゆみや痛みはありません。発熱時に多少の咳、下痢の症状が出る赤ちゃんもいます。
重症化することはありますか?
まれに合併症を発症します。3日以上の高熱や激しい嘔吐などの症状があれば、すぐに病院に行きましょう。
突発性発疹は、予後は良好で命に関わる後遺症は残らないことが多いです。しかし、まれに脳炎・脳症や、肝炎による劇症肝炎、血小板の減少で出血しやすい状態になる血小板減少性紫斑病などという合併症を発症します。
<注意が必要な症状>
3日以上の高熱
ぐったりしている
痙攣を繰り返す
激しい嘔吐 など
これら以外にもおかしいと思う症状があれば、すぐに病院を受診してください。
この記事は、健康検定協会から「子育てエンジョイライフ」に提供されたものです。
参考
突発性発しん|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-22.html
保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版) (案)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11921000-Kodomokateikyoku-Soumuka/0000199015.pdf
突発性発疹とは|国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/yellow-fever/392-encyclopedia/532-exanthem-subitum.html
東京都感染情報センター 突発性発しん
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/exanthem_subitum/