「特に昼間に寝すぎたわけでもないのに夜に眠れない。」
「夜眠れないから朝起きられない…。」
このような悪循環に陥ったことがある方も多いのではないでしょうか?
この記事では、寝たいのに眠れない原因と早く眠るための対処法を医師が解説します。
夜に眠れない症状が続く場合は、病気の可能性もありますので、ご自身の症状と照らし合わせてチェックしてみてください。
監修者
岡村クリニック
院長
岡村 長門先生
埼玉医科大学
公立昭和病院
岡村医院
岡村クリニック
夜に眠れない理由
- 身体的疾患
痛み(腹痛、胸痛、下肢痛 等)咳、かゆみ、発熱、頻尿等の身体的な疾患が原因 - 精神的疾患
うつ病、精神分裂病等の精神的な疾患が原因 - 心理的問題(過覚醒型不眠症)
精神的ストレス、不安、考えごと、妊娠期、環境の変化等が原因 - 生理的問題(リズム異常型不眠症)
時差ぼけ、夜間勤務で昼と夜が逆転している、就寝時間が早すぎる等が原因 - 加齢による朝型傾向
睡眠のための生体機能リズムが乱れやすいため起こります。
日中の活動量が低下するため睡眠時間をあまり必要としない、睡眠が浅くなる、といったことが原因。 - 薬の使用
カフェインを含む薬、ステロイド薬、抗がん剤等の服用が原因
筋トレすると眠れないって本当?
夜だから休むという状態になっている脳や体を活動的な状態にしてしまい、血圧、心拍数、体温が上昇し、スムーズに眠りにつけなくなることがあります。
眠れない時の対処法
身体が温まる飲み物
温かい牛乳には、神経を落ち着かせる作用や睡眠を促す作用が期待できます。
また、牛乳やはちみつはアミノ酸が多いので、眠りの質を良くしてくれます。
睡眠薬
夜眠れない状態が続き、対症療法を行っても症状の改善がみられない場合には、睡眠薬を用いた薬物療法が行われます。
また、抗不安薬(安定剤)や漢方薬が使用されるケースもあります。
ドリエルといった睡眠改善薬は市販されていますが、その際も薬剤師や登録販売者に相談の上、利用しましょう。
サプリメント
市販品でグリシン、GABA、テアニン等の睡眠を補助する働きをもつ成分が含まれているサプリメントもあります。
しかし、これらは医薬品とは異なり、臨床試験を行い有効性や服用の安全性等を十分行っているものは少ないとされています。
効果が得られない時は、使用量を増やしたり、漫然と使用を続けるのではなく、医師に相談するようにしてください。
アロマ
お気に入りの香りのアロマ を使用してリラックスするのも良いでしょう。
気分転換やストレスの解消が期待でき、入眠しやすくなる場合があります。
ラベンダーやクラリセージなど、睡眠に良いと言われている香りがおすすめです。
ツボ
- 安眠
耳の後ろの骨が出ている場所から指1本分下の部分にあるツボです。
このツボを押すと深い睡眠ができると考えられています。 - 労宮
手の平の中心部分からやや親指側にあるツボです。
気持ちをゆったりと落ち着かせる作用が期待できます。
ストレッチ
軽めのストレッチで筋肉をほぐすと、血行改善、寝床内の温度調整等ができ、入眠しやすくなる場合があります。
①両手でタオルを持ち、足を肩幅に開く
②両腕を上に伸ばしながら体を左右に曲げる
③背中を丸めて腕を体の前方に下して、背中の筋肉を伸ばす
④腕を後方に伸ばしながら上げて胸を開く
⑤腕を下ろして背中の筋肉をほぐす
呼吸
腹式呼吸でゆっくりと深い呼吸を数回繰り返すことで、自律神経のバランスが調節できるため、気持ちが落ち着いて眠りやすくなります。
入浴
就寝時間の1~2時間前に、ぬるま湯(38~40度)に10~15分ほど浸かるのがおすすめです。
眠りやすい環境を作る
部屋の電気を暗くして、エアコン・加湿器を利用して快適な温度や湿度に調整しましょう。
眠りにつきやすい環境を整えることが大切です。
避けるべき行動
就寝前にアルコールを摂らない
アルコールが体内で分解される際に生じるアセトアルデヒドは、スムーズな入眠を妨げ、眠りの質を低下させる可能性があります。
アルコールの摂取はできるだけ寝る3時間前までにしてください。
就寝前にカフェインを摂らない
カフェインには覚醒作用があるため、コーヒー、紅茶、緑茶、コーラ等の摂取は、眠りにつく4~5時間前までにしてください。
昼寝(仮眠)をしない
昼食後~15時までに20分くらいの仮眠をとることは有効とされていますが、それ以降や長い時間の仮眠は夜の眠りに悪影響を与える場合があります。
就寝の2~3時間前までに夕食を済ませる
寝る前に食事をすると、消化するために寝た後も胃腸が活動するので、睡眠の質が低下しやすくなります。
ブルーライトを見ないようにする
ブルーライトは、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を抑制する作用があるため、テレビ、スマホ、パソコンは寝る1時間前までの使用にしてください。
日中にパソコンを使う際はブルーライトカットのメガネを使用するとメラトニン分泌抑制を避けられるので、夜の睡眠状態を改善する効果が期待できるでしょう。
病気の可能性は?
眠れない日が何日も続く場合は、次の病気を発症している可能性があります。
概日リズム睡眠障害
睡眠覚醒リズムと24時間リズムにズレが生まれて眠りたい時間に眠れない状態です。
夜型の生活を送っている場合に発症しやすく、自律神経失調を併発するケースもあるようです。
不眠症
入眠困難(なかなか寝付けない)、中途覚醒(眠りについてもすぐに目が覚める)、早朝覚醒(朝早く目が覚める)、熟眠障害(ぐっすり眠れない)等の症状が合わさって起こるケースが多いとされています。
不安や緊張が募りさらに眠れなくなるという悪循環に陥り、日常生活に支障が出る場合もあります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に無呼吸状態が繰り返され、いろいろな合併症を引き起こす疾患です。
上気道が狭くなることが原因で発症するケースが多く、肥満と深い関わりがあります。
いびき、頭痛、発汗、夜間頻尿等を伴い睡眠が阻害されます。
高血圧
交感神経が興奮状態になることで睡眠が妨げられる場合があります。
糖尿病
神経障害による痛みやしびれ、多飲に伴う頻尿等が原因で睡眠が妨げられる場合があります。