気象庁の発表によると、2月の気温は全国的に例年より高くなる見込みで、「暖冬」傾向が続くそうです。
このようなときに気をつけたいのが、寒暖差が原因で起こる心身の不調です。
日によって、または一日のうちで朝夕の気温差が激しいことで、体調を崩しやすくなるので注意が必要です。
そこで、寒暖差疲労になる原因や症状、対策について、久野銀座クリニックの岡村信良先生に詳しくお聞きしました。
寒暖差疲労とは
寒暖差疲労は、寒暖差の大きい環境にいることで起こります。
季節が移り変わる時季で朝夕の気温差が激しい場合や、冷房や暖房がきいた屋内から外に出たときの寒暖差も原因として挙げられます。
では、寒暖差が激しいことで体にはどんな異変が起きてしまうのか、岡村先生が詳しく説明してくれました。
「体温の上げ下げは、自律神経で調節されます。激しい寒暖差が続くと自律神経のバランスが乱れ、通常よりもストレスが多くなり疲労がたまります。この状態が寒暖差疲労です。
寒暖差疲労の症状には精神的なものと身体的なものがあります。主に、眠れない・イライラ・気分の落ち込み・めまい・肩こり・冷えなどの症状が表れます」
例えば、冬の時季は室内を暖かくして過ごしがちですが、外に出たときは一変して寒さを感じるため、その気温差で体の調子を落とすことがあります。
自律神経は体温を調節する役割を担いますが、寒暖差が激しいことで調節するためのエネルギーをより多く消費するため、疲労が蓄積されてしまいます。
寒暖差疲労になりやすいタイプ
寒暖差疲労になりやすいのは、男女で比べるとどのくらい違いがあるのでしょうか?
また、どんな体質の人が寒暖差疲労になりやすいのか、岡村先生にお聞きしました。
女性の方がなりやすい!?
岡村先生によると「自律神経の症状で通院している女性は、男性の約3倍」だそうです。
その理由として「女性特有のホルモンや冷えなどが自律神経に影響していることから、寒暖差疲労は女性に多いと考えられます」と説明します。
天気の影響を受けやすい方も…
気圧や気温、湿度の変化によって体調不良を起こす「天気痛」を抱えている人は、寒暖差疲労にもなりやすいようです。
「天気痛も主に自律神経の乱れが原因で起こります。自律神経は変化を感じやすいので、天気痛と寒暖差疲労の両方を発症しやすいと考えられます」
寒暖差疲労を起こさない体づくり
生活習慣が乱れていると、自律神経に悪い影響を及ぼす可能性があります。
岡村先生は「生活を整え、体力をつけることが大切です。そのためにはバランスの良い食生活、質の良い睡眠、適度な運動を心がけましょう」と話します。
では、実際にどういった点に注意すべきなのか、具体例を挙げていただきました。
「運動不足のほか、薄着や冷たい飲食が多く冷えを招くような生活習慣は、寒暖差疲労になりやすいと言えます。
また、常にエアコンのきいた場所での生活は、外と中の寒暖差が非常に激しく自律神経に疲労を蓄積する恐れがあります」
体を温める最適な方法は?
岡村先生は、体の冷えが寒暖差疲労につながりやすいと説明してくれましたが、実際に冷え対策としてはどんな方法が有効なのでしょうか。
体を温めるために最適な「温活」の仕方を教えてもらいました。
「首温活」が効果的
温活のなかでも、首を温める「首温活」が寒暖差疲労には効果的だそうです。
その理由について、岡村先生はこう説明します。
「冷えによって首がこわばっていると、内部にある自律神経が圧迫され、スムーズな動きができません。
とくに首や首回りの血流を改善すると、体がほぐされ、自律神経は正常な働きを取り戻します」
手首や足首も温める
首だけでなく手首や足首を含めた「三首」と呼ばれる部分を温めるとさらに効果を発揮します。
その理由と具体な方法について、岡村先生はこのように述べています。
「首・手首・足首の三首は、血流が集中しています。ここを温めることで、体全体の血流を良くする手助けになるというわけです。
そのためには三首の開いた服装は避け、マフラーやストールでしっかりと首回りの防寒対策をしましょう。
また、手袋をしたときは手首が出ないように心がける、足首が出ない長さのソックスやタイツでしっかりと覆うようにすると効果的です。
入浴はシャワーで済ませず、湯船につかるようにして体を温めましょう」