「風邪をひいたら舌が痛い…」
「舌がヒリヒリするのはなぜ?」
お医者さんに詳しく聞きました。
自分でできる対処法や、病院へ行く際は何科を受診すれば良いのかも解説します。
風邪の症状と舌の痛みにお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
監修者

荒牧内科
院長
荒牧 竜太郎先生
西田厚徳病
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
風邪のせいで舌が痛くなる?
風邪によって舌に痛みを感じることはあります。主な原因は次の通りです。
口腔カンジダ症
口腔カンジダ症は、舌表面の粘膜が赤くなり、舌がピリピリ・ヒリヒリするような痛みが生じる場合があります。
アフタ性口内炎
風邪等で体調を崩している場合や胃の調子が悪い場合に、アフタ性口内炎ができる場合があります。
舌尖部、舌の裏に痛みが生じるケースがあると考えられています。
白い舌苔の増加
風邪や過労等により体調を崩している場合、舌に付着している白い舌苔が増加し、舌が荒れてざらざらする場合があります。
免疫力の低下で起こる「舌痛症」
舌がヒリヒリ、ピリピリ、ジンジンするような状態になったり、やけどをしたかのような痛みを生じたりする症状で、原因不明の疾患です。
舌表面には何の異常も出ないという特徴があります。
舌痛症の特徴
舌痛症では、毎日2時間以上、反復する痛みが3か月間以上続くものとされているようです。
何らかの疾患が原因で、舌痛症と同じような痛みを起こす状態を二次性舌痛症といいます。
栄養不足
- ビタミンB欠乏症(ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12)
ビタミンB2やビタミンB6、B12 の不足が舌炎などを起こし、舌に痛みが生じる場合があります。 - 微量元素の欠乏(亜鉛、鉄、銅等)
血中の微量元素が不足すると、舌や口唇に炎症を起こす場合があります。 - 鉄欠乏性貧血
血漿※中の鉄分が不足すると、舌に痛みを伴う炎症が起こる場合があります。
※血漿とは、血液の半分以上占める液体成分で、栄養成分を各組織に運ぶなど様々な働きをしています。
風邪による舌の痛みの治し方
市販の風邪薬で治る?
鎮痛剤等、痛みを緩和する成分の含まれた市販の風邪薬もあります。
対症療法として、ロキソニンはバファリンなど頭痛薬で舌の痛みを抑えることは可能ですが、根本の原因に作用する風邪薬が適していると言えるでしょう。
風邪の症状と共に舌の痛みがあることも伝えましょう。
舌の症状に作用する漢方薬
舌の痛みの原因が風邪である場合は、次の漢方薬で改善される可能性があります。
- 葛根湯(カッコントウ)
- 小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
舌痛症の治療として使用されるケースが多い漢方薬は、次の通りです。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
- 立効散(リッコウサン)
- 柴朴湯(サイボクトウ)
- 小柴胡湯(ショウサイコトウ)
- 白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)
- 五苓散(ゴレイサン)
- 半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)
その他、自分でできる対処法
次の対処法を実践してみましょう。
- うがいをする
- 栄養バランスの良い食事を摂る(微量元素、ビタミンB群 等)
- 過労やストレスを溜め込まない
- 睡眠時間を確保して体を休める
- 口の中を清潔に保つ(歯磨きの他、マウスウォッシュを活用するも良いでしょう。)
- 過剰に舌磨きをしない
- 舌の粘膜を傷付けないようにする
- 歯、義歯、歯科矯正器具等に不具合がある場合は早めに歯科を受診する
- 喫煙する人は禁煙する(喫煙によって下の粘膜を刺激し、口内環境が悪くなります。)
風邪以外の可能性
溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)
溶連菌感染が原因で、舌の舌乳頭部分が赤く腫脹する(イチゴ舌)場合があります。
発熱やせき、のどの痛みなど風邪のような症状を伴います。
子どもに多い感染症ですが、大人も罹患することがあります。
風邪症状を伴わない舌の痛み
ストレス
ストレスにより、舌痛症を引き起こす場合があると考えられています。
また、ストレスによる精神的緊張状態が続くと、唾液の分泌を調整する自律神経のバランスが不安定になり、口腔乾燥症(ドライマウス)を起こす場合があります。
その結果、舌に炎症が起きて痛みが生じるケースがあると考えられています。
三叉神経痛
下顎神経の神経痛が原因で、舌(舌体部)に一時痛みが生じる場合があります。
口腔内の問題
歯が削れて鋭利な状態になっている義歯不良や被せものの異常等が原因で舌が削れたり、舌に刺激が加わったりすると舌に痛みが生じる場合があります。
糖尿病
糖尿病により、口渇状態になり口腔内が乾燥すると、舌に炎症が起きる場合があります。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群による唾液分泌低下により、口腔内が乾燥し、舌に痛みが生じる場合があります。
貧血(鉄欠乏性貧血、悪性貧血(ビタミンB12、葉酸欠乏症)
悪性貧血が原因で起こる粘膜障害によって、舌に痛みが生じる場合があります。
口腔乾燥症(ドライマウス)
口腔内の乾燥によって、舌がヒリヒリする、口の中がピリピリする等の症状が起こる場合があります。
単純ヘルペス(帯状疱疹)
単純ヘルペス(帯状疱疹を起こすウイルス)の増殖により、舌に炎症が生じて痛みを起こす場合があります。
加齢
加齢による唾液分泌の低下や舌の粘膜上皮が薄くなる等により、物理的に舌に刺激を受けやすくなり、舌に痛みが生じる場合があります。
悪性腫瘍
悪性腫瘍舌がんの浸潤が原因で、知覚神経に刺激が加わる場合があります。
口腔内環境が悪い
歯磨きをしない、すすぎが不十分等により、舌の先端に汚れが溜まると、その部分に細菌が増殖し、舌に炎症が起こり痛みを生じる場合があります。
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記事は、健康検定協会から提供されています。