「最近毎日のようにまぶたが痙攣する…。」
頻繁にピクピクとまぶたの痙攣が起こると、不安になりますよね。
「片方だけ痙攣するのはなぜ?」「どうやったら止まるの?」
このような疑問に、眼科医が詳しくお答えします。
痙攣が止まらない場合の病気の可能性、病院を受診する目安も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
監修者
田町三田やまうち眼科
眼科医
山内 明子先生
まぶたが痙攣する主な原因
眼瞼ミオキミア
眼瞼ミオキミアは、まぶたの下にある眼輪筋の攣縮(筋肉が痙攣して、収縮すること)が不随意に生じることでピクピクと動く状態です。
まぶたがピクピクする状態が、数秒~1分程度続きます。
多くの場合、片側だけに痙攣が起こります。
眼瞼ミオキミアが起こる理由
- ストレス
- 眼精疲労・ドライアイ
- 睡眠不足
- 花粉症
- 自律神経の乱れ
- 更年期障害
- 栄養不足(筋肉の働きに関与するマグネシウム、目の粘膜に関与するビタミンA、神経伝達物質合成に関与するビタミンB6、B12等)
- アルコールやカフェインの摂取等
通常、数日~数週間で自然治癒するケースが多いため、治療は必要ないと考えられています。
貧血でピクピクすることも
まぶたの痙攣が貧血のサインであるとは言い切れませんが、血液が不足している場合にまぶたがピクピクするケースがあります。
妊娠中はまぶたが痙攣しやすい
妊娠中に目を酷使したり、睡眠不足が続いたりすると、血液を消耗しやすくなり、まぶたが痙攣してピクピクする場合があります。
母体から胎児に血液を送っている状態のため、妊娠していないときよりも著しく血液の消耗が激しくなる可能性があります。
そのため、鉄分も不足しやすいです。
ホルモンバランスも安定しておらず、妊娠しているというストレスや睡眠不足、ミネラルバランスの崩れなども考えられます。
まぶたの痙攣を止める方法
パソコンやスマホ等を長時間見続けない
目の刺激になるものを長時間見続けるのはやめましょう。
1時間に1回、10分ほど、目をパソコンから離したり、瞬きを意識的に行うと良いです。
また、ブルーライトカットメガネやパソコンの液晶にブルーライトカット機能をつけることもおすすめです。
目薬を使用する
痙攣の種類によって目薬の選び方は異なります。
例えば、目の疲れであればビタミンEやビタミンB1などが入っているもの、ドライアイによってであれば潤いを保つヒアルロン酸入りのものが良いです。
また、ビタミンB12含有のものは、神経伝達物質を正常にするサポートをして痙攣にも働きかけます。
目の周りをマッサージして血行を促進する
目頭を心地良い程度に押したり、目をつぶってこめかみの周りを押しほぐすようにします。
眼科でボツリヌス注射をする
生活習慣等の見直しや改善を試みても痙攣が止まらない場合、ボツリヌス注射で治療する方法もあります。
眼瞼痙攣で主流となっている治療法です。
ボツリヌス注射を行っている医療機関であれば、希望を言っても良いですが、打つか打たないかの最終的な判断は医師が行います。
医師の判断により、先に生活習慣の改善を試みるようにと指導される場合もあります。
痙攣が止まらない…病気の可能性は?
自律神経失調症やうつ病
交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで次のような症状が現れます。
- 頭痛
- 倦怠感
- 肩こり
- めまい
- 便秘
- 下痢
- 動悸
- 息切れ など
また、目の周辺や顔の筋肉に不快な症状が生じるケースもあります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
喉にある甲状腺から、甲状腺ホルモンが分泌し過ぎてしまう疾患です。
次のような症状が現れます。
- 動悸
- 息切れ
- 倦怠感
- 手足の震え など
これらに加えて、まぶたが小刻みに痙攣する症状が出現する場合があります。
眼瞼痙攣
瞬きの制御不能、または、まぶたの開閉機能異常等と表現される場合があります。
眼瞼ミオキミアとの違い
眼瞼ミオキミアで起こるまぶたがピクピクする痙攣とは異なり、目の違和感、目が乾いた感じ、眩しさ、無意識に片目または両目が閉じてくる、瞬きの増加等の症状で発症する場合が多いようです。
重症化すると、自力ではまぶたが開けられなくなる恐れがあります。
なぜ発症するの?
眼瞼痙攣が起こる原因ははっきり解明されていませんが、視床、大脳基底核、脳幹の神経伝達異常によるものではないかと考えられています。
治療法としては、ボツリヌスA型毒素を用いた注射療法が有効と考えられています。
片側顔面痙攣
この状態が続くと、顔に歪みが生じたり、片目が閉じてしまったりといった症状が起こり、日常生活に支障をきたす場合があります。
目の周りの症状からはじまり、徐々に片側の顔の筋肉が意識していないのに動くようになるケースや、耳鳴りが起こるケースもあるようです。
脳腫瘍や脳血管のこぶによって発症する場合も
稀に、脳腫瘍や脳血管に生じた瘤(こぶ)により顔面神経が圧迫されることが原因で発症する場合もあります。
片側顔面痙攣もボツリヌス毒素A型を少量注射する治療法が行われるケースが多いようです。
チック症
子どもに多く発症する
チック症が顔で起きた場合は、瞬きの回数が増えるケースがあります。
その他にも、首をかしげる、顔をしかめる、肩を上げる、瞬きをする等の動きを短時間で何度も繰り返すケースがあります。
発症要因はストレスや不安感など
一般的には、心因的なストレスが関与して生じるとされています。
原因ははっきりしていませんが、様々なストレスや不安感等との葛藤の結果、チックが起こると考えられています。
記事は、健康検定協会から提供されています。