「目やにが大量に出るのはなぜ?」
「自然に治る?」
「病院へ行った方が良い?」
この記事では、目やにが大量に出る場合に考えられる理由を医師が詳しく解説します。
病気の可能性や原因別の対処法、病院へ行く基準についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
監修者
田町三田やまうち眼科
眼科医
山内 明子先生
目やにが大量に出るのはなぜ?
結膜炎
細菌やウイルス等の異物が目に侵入した場合、白血球がそれらの異物を除去しようと働くことで目やにが生じる場合があります。(免疫反応)
また、花粉やハウスダスト等のアレルギー物質が原因で目に炎症が生じると、涙の分泌量が増えて、目やにが多くなるケースもあります。
ウイルス性結膜炎(はやり目)
アデノウイルスは何種類かの型があり、8型、19型、37型は流行性角膜炎の原因になります。
目やにが大量に発生する、白目の充血、まぶたが腫れる、涙が止まらない等の目の症状に加えて、リンパ節腫脹、発熱、のどの痛み等の症状を伴うケースもあります。
発熱がある場合、39度前後まで上がることがあります。
片目の症状から始まるケースが多いですが、数日遅れてもう一方の目にも症状が現れることがあります。
急性出血性結膜炎
感染後すぐ症状が出現し、目やにの増加、目の充血、白目部分の出血等の症状が現れます。
<ウイルス性結膜炎の対処法>
ウイルス性結膜炎に有効とされる治療薬はないため、対症療法が行われるケースが多いです。
そのため、市販の目薬で対処するのではなく、医療機関を受診し、症状に適した処置をしてもらいましょう。
アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダスト等が原因になるケースが多いです。
充血、目やにの増加、涙の増加、かゆみ等の症状が現れます。
<アレルギー性結膜炎の対処法>
症状が軽い場合には、抗ヒスタミン剤を配合した目薬が有効な場合もあります。
細菌性結膜炎
目やに(膿をもつ)、充血、涙が増える等の症状が生じる場合があります。
<細菌性結膜炎の対処法>
症状が軽い場合には、市販の目薬を使用して様子をみるという方法もあります。
市販薬を使用する場合は、スルフォメトキザール(抗菌作用)を配合する目薬を選ぶケースが多いようです。
その他、下記の成分を配合している市販薬も症状緩和に有効と考えられています。
- 炎症を鎮めるグリチルリチン酸二カリウム
- かゆみを鎮めるクロルフェニラミンマレイン酸塩
- 血行を促進するビタミンE等
ものもらい(麦粒腫)
主な原因菌は、黄色ブドウ球菌です。
<ものもらい(麦粒腫)の対処法>
市販薬の場合は、抗菌成分や抗炎症成分が入っている“ものもらい”用の目薬があるので、そちらを使用しましょう。
市販薬でも改善されない、ひどく腫れているようであれば、医療機関を受診しましょう。
風邪でも目やにが大量に出る?
風邪をひくと鼻水が出るケースが多いため、その鼻水が鼻涙管(目と鼻を繋ぐ管)を逆流してきてしまうと、目やにとして出てくる場合があります。
また、目を覆っている涙は、鼻涙管を通過して鼻腔に流れていきますが、風邪をひいていると鼻涙管の通りが阻害されます。
すると、涙が目に溜まるようになり、目やにが増えると考えられています。
風邪が原因で起こる結膜炎
目やにに加えて、のどの炎症、発熱(38度以上)、結膜が赤い等の症状が現れる場合が多いです。
<風邪で目やにが出た時の対処法>
風邪で目やにが大量に出ている場合は、根本の風邪を治す薬を飲むと改善されることがほとんどです。
風邪が治っても目やにが改善されない場合は細菌感染など他の原因があるので、医療機関を受診しましょう。
結膜炎であれば、抗菌成分(スルファメトキサゾール)の目薬を使うと改善されます。
角膜潰瘍
<角膜潰瘍の対処法>
感染によって起こる場合と外傷によって起こる場合で使う薬が変わります。
まずは医療機関で原因を確認し、感染であれば、原因菌に対して抗生物質や抗菌剤などの点眼や内服などで治療します。
外傷などによってであれば、抗炎症薬の投与になります。
涙嚢炎
<涙嚢炎の対処法>
抗菌薬での治療になりますので、眼科を受診しましょう。
先天性鼻涙管閉塞
すると、涙が鼻涙管を通過して鼻に抜けられず目に溜まることで目やにが増える場合があります。
<先天性鼻涙管閉塞の対処法>
基本は、目の内側や鼻の付け根あたりを毎日4回ほどマッサージして溜まった場所を改善させます。
炎症が起こっている場合は、抗菌薬を投与しますので、医療機関を受診しましょう。
逆さまつ毛
<逆さまつげの対処法>
逆さまつ毛の度合いによって、自然に治る場合もありますし、簡単な手術を行うこともあります。
まずは医療機関で相談しましょう。
コンタクトレンズの使用
<コンタクトレンズの対処法>
コンタクトレンズを一時中止し、メガネに変えましょう。
コンタクトレンズを衛生的に保つことはもちろん、コンタクトレンズの保存液やコンタクトレンズのメーカーを変えることで治ることもあります。
子どもや赤ちゃんに多い病気
先の章で解説した原因の内、結膜炎、ものもらい、先天性鼻涙管閉塞、逆さまつげは、子どもや赤ちゃんにもよく起こります。
大量の目やには自然治癒する?
特に、細菌性結膜炎で症状が軽症の場合、自然治癒することもあるようです。
しかし、あまりに多くの目やにが出ている場合は、コンタクトレンズの使用は控えて、医療機関を受診することをおすすめします。
記事は、健康検定協会から提供されています。