左脇腹が痛い!
病院は何科に行けばいい?
ズキズキ・チクチク痛みを感じるときの対処法を医師が解説します。
放置する危険性や早期受診のメリットについても聞きました。
監修者
荒牧内科
院長
荒牧 竜太郎先生
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
なぜ?左脇腹が痛い原因
1.尿管結石(ズキズキ痛)
2.腎盂腎炎(ズキズキ痛)
3.帯状疱疹(ピリピリ痛)
4.膵炎(ズキズキ痛)
5.大腸憩室炎(チクチク痛)
などが考えられます。
痛みの原因によって受診すべき科が違います。
それぞれの痛みの特徴と、受診すべき科を解説します。
1.尿管結石→泌尿器科
尿路結石とは、尿の中の成分(ミネラル)が結晶化し結石となり、尿路にとどまっている状態のことを言います。次のような人は、尿管結石になりやすいといわれているので、注意が必要です。
- 肥満または運動不足
- 脱水気味
- 動物性たんぱく質をたくさんとっている
- 水分やカルシウムが不足している
- よく清涼飲料水を摂取している
- 結石になったことがある家族がいる
- 副甲状腺機能亢進症や尿細管性アシドーシスなどの病気がある。
痛みの特徴
- ズキズキと刺すような激しい痛み
- 痛みの強さに波がある
- 「少しずつ痛みが強くなり、ピークになると和らぐ」というのが約20~60分間隔で起こり、痛みは2~3時間続くこともある。
※他にも、吐き気、嘔吐、発汗、悪寒、発熱、排尿時の痛み、血尿、強い尿意、尿の変化、腹部の腫れなどの症状が見られます
※結石のできる位置により、傷む場所が異なります。(左の尿路結石なら左側、右なら右側)鼠径部から陰部まで痛みがひろがることもあります。
2.腎盂腎炎→腎臓内科、泌尿器科
膀胱炎のあとに起こることが多い、腎臓が炎症を起こす病気です。尿道の出口から細菌が入り込むことで起こります。
痛みの特徴
- ズキズキとした痛み
- 夕方から早朝にかけて痛むことが多い
- 炎症が波及すれば右脇腹や腰・背中も痛む
「急性腎盂腎炎」
悪寒や震えを伴う発熱(38℃以上)、吐き気、嘔吐、頻尿、残尿感、排尿時の痛み、尿の混濁など。馬蹄腎や膀胱尿管逆流症の人がなりやすいです。その他、妊娠、結石、尿道炎なども誘因となります。
「慢性腎盂腎炎」
活動期では、急性腎盂腎炎と同じような症状。非活動期では微熱、倦怠感、食欲不振など、もしくは無症状。
3.帯状疱疹→皮膚科
疲れやストレス、病気によって免疫力が下がっている人がなりやすいです。特に50歳以上に多いと言われています。
帯状疱疹とは、水ぼうそうのウイルスが再び活動を始めることによって発症する、帯状の小さな水ぶくれです。
痛みの特徴
- ピリピリと刺すような痛み
- 刺激(寝返りをうつ、衣服がすれる等)により痛みが増す
- 顔(目の周り)にも痛みが生じることもある
※他にも、発熱、頭痛、リンパ節の腫れなどが併発することもあります。
4.膵炎→消化器内科
膵炎とは、膵臓が炎症を起こしている状態です。アルコールをよく飲む人や、男性に多い病気です。
痛みの特徴
- ズキズキとした痛み
- 背中、みぞおち、腰が痛む
- 食後数時間後やあおむけで寝ると痛い(慢性膵炎)
突然発症し、数日から数週間でおさまる「急性膵炎」と、炎症が長期間続き膵臓の機能が破壊される「慢性膵炎」があります。急性膵炎の場合、入院が必要になります。
「急性膵炎」
胆石が一時的に詰まることなどで起こります。
発熱、食欲不振、吐き気、嘔吐などが起こります。せきこむ、深呼吸をする、体を大きく動かすなどにより痛みを強く感じます。食後に痛みを感じる人もいます。
原因ははっきりしていませんが、大量の飲酒により急性膵炎になることもあります。
「慢性膵炎」
長期間の大量の飲酒により、炎症が起こります。遺伝により起こることもあります。吐き気、嘔吐、倦怠感、腹部膨満感などが起こります。進行すると膵臓の働きが悪くなることで消化不良が起こり、下痢や体重減少が生じます。
5.大腸憩室炎→消化器内科、胃腸科
憩室(大腸の壁の薄いところにできた袋状のもの)に便が入り込むことで細菌が増え、炎症を起こします。憩室は大腸検査の際などに指摘されることが多いです。喫煙や肥満も関係していると言われています。
痛みの特徴
- チクチクとした痛み
- 歩いたときに、響くように痛む
※他にも、発熱、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが見られます。
女性の場合、婦人科系疾患の可能性も!
・子宮内膜症
・子宮筋腫
・卵巣腫瘍
・異所性妊娠
などの可能性もあります。
<症状の特徴>
「子宮内膜症」
主に生理前や生理中の下腹部や骨盤部の痛みが起こります。排便時や排尿時の痛み、生理中の下痢や便秘、頻尿、強い尿意、腹部膨満感なども生じます。
「子宮筋腫」
不正出血、便秘、頻尿、強い尿意、流産が続く、などの症状が見られます。検診の時に見つかる場合が多いです。
「卵巣腫瘍」
下腹部痛や頻尿が生じます。腫瘍が小さい時は無症状のことが多いです。検診の時に見つかる場合が多いです。
「異所性妊娠」
腹痛や不正出血が起こります。ただ、初期症状がなく自分で判断するのは難しいです。
婦人科系の病気は、検診をうけることで見つかることもありますので、定期的に検診をうけることも大切です。
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記事は、健康検定協会から提供されています。