爪の横や根本にできるささくれ。
気になってつい抜いてしまうと、傷になったり、腫れて化膿してしまったり…。
そんな痛いささくれの正しいケア方法について、医師に詳しく解説してもらいました。
監修者
小田原銀座クリニック
形成外科医
長谷川 佳子先生
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
平成26年よりKO CLINICに勤務
平成29年2月より小田原銀座クリニックに勤務
爪にささくれができる原因
ささくれの正体は?
ささくれとは、爪周辺の皮膚、爪の根元を覆っている後爪郭の表皮が剥がれてしまった状態です。
爪の横に飛び出すささくれは、乾燥した爪の一部です。
ささくれができる原因
乾燥
乾燥すると、外的刺激に対する抵抗力が弱くなり、少しの刺激や衝撃でも剥けやすい状態になってしまいます。
空気が乾燥すると皮膚の水分や油分が失われて、手指の皮膚が乾燥したり、指先をよく使う作業は摩擦によって乾燥しやすいです。
また、手を頻繁に洗う(お湯を使う)、炊事等の家事、ネイルケア(甘皮除去、リムーバー)、パソコン作業 、紙類を扱う仕事、爪を噛む癖がある等が乾燥を誘発すると考えられています。
栄養不足
たんぱく質、ビタミン、ミネラルが不足すると、ささくれが生じやすくなると考えられています。
冷え
冷えが原因で指の血液循環が滞り、血行不良になるとささくれができやすくなります。
ささくれができたときの対処法
ささくれが気になる!抜いたり切ったりして良い?
無理に抜いたり切ったりすると、何の異常もない健康な皮膚まで裂けて傷が広がる等、症状が悪化する恐れがあります。
ささくれは、根元から爪切りやハサミ等で切るようにしてください。
近くに爪切りやハサミがない場合は、通気性の良いテープ等で動かないように固定しておきましょう。
ささくれを改善するために
下記の改善法を実施してみてください。
- 清潔な爪切り、ハサミ(眉毛や鼻毛ケア用等の小さいもの)でささくれを根元から切る。
- 保湿クリームやオイルを塗りこむ。(マッサージしながら塗るのがおすすめ)
- 清潔にすることは重要だが、必要以上に手を洗わないようにする。
- 洗い物をするときは手袋を装着するようにする。
- パソコン作業や紙類を使った後は、保湿ケアを行うようにする。
- 寝るときは、爪と指の間にワセリン等のクリームを詰めるように塗り、手袋を付けて保湿する。
ささくれ付近が化膿してきたら?
ささくれが悪化して化膿する状態を爪周囲炎やひょう疽といいます。
爪周囲炎
爪周囲炎は、ささくれや深爪等が原因で、化膿菌が入り込むことで起こります。
ひょう疽
ひょう疽は、指先腹側が化膿する状態で、急性の炎症の場合には、爪周囲の発赤、腫脹、痛みが起こり、悪化すると膿がたまるケースもあります。
強い痛みが生じて、夜眠れない場合もあるといいます。
ささくれを予防するために
生活習慣・栄養素
乾燥しないようにする
手指に乾燥がある場合には、クリームやキューティクルオイルでこまめに保湿を徹底してください。
クリームを塗るときは、爪のまわりまでしっかり付けてください。
手洗いや家事の際など、お湯の使用は皮脂の過剰な除去になるので注意しましょう。
血行を改善する
適度な運動やマッサージを行うことで、血行不良が解消され、ささくれ予防が期待できます。
栄養バランスのよい食事を摂るようにする
爪や皮膚を構成するタンパク質や肌を健やかに保つビタミン、ミネラルを意識的に摂るようにして、栄養が不足しないように心掛けてください。
- タンパク質
爪や皮膚に弾力を与え、健康な状態を維持する作用があります。
魚、肉類、卵、乳製品、大豆等に多く含まれています。 - ビタミンA
皮膚の新陳代謝を活性化する、潤いを補う作用がある。
にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、うなぎ、レバーに多く含まれています。 - ビタミンE
血行改善作用があるため、摂取した栄養分を体中に届けてくれる。
いわし、アーモンド、アボカド、たらこ、かぼちゃ等に多く含まれています。
ネイルアートやマニキュアはOK?
ささくれがあっても、ネイルアートやマニキュアをしても問題ないと考えられています。
注意点としては、ささくれ部分に液剤をつけないようにする、甘皮を除去し過ぎない、リムーバーを付けないようにする等が挙げられます。
記事は、健康検定協会から提供されています。