小田原銀座クリニック 院長 一原亮先生の解説記事です。
胃癌は粘膜の表層にとどまっていて陥凹していないものについては手術で胃を切除することなく
内視鏡で癌だけを剥がすように取り去ることができます。
以前は胃のバリウム検査が検診の主体でしたが、内視鏡で剥がせる極早期の胃癌は
粘膜の色あいの変化が診断のきっかけになるため、粘膜の凹凸で診断するバリウム検査では
極早期の胃癌を診断することについては限界があります。
大腸癌はそのほとんどがポリープから進行したものです。
加齢とともにポリープができやすくなり
(とくに50歳台後半から60歳以上で頻度が増えるようです)
その約80%は良性の腫瘍性ポリープ(腺腫)です。
大腸腺腫は約1年半~2年かけて倍の大きさに育つという研究結果があります。
そして径2cmに育った腺腫は一部に癌化がはじまります。
そして次第に拡がり(範囲も深さも)、大きくなり進行癌となります。
癌化したものでも粘膜の表層にとどまっているうちであれば手術で大腸を切除することなく治せます。
さらにポリープのうちに見つけて切除すれば大腸癌は根絶できるとまで言う研究者もいます。
胃癌も大腸癌も粘膜内または粘膜の下の層までにとどまっているもの(筋肉層まで達していないもの)を
早期癌といい、ほぼ100%治すことができます。
さらに粘膜内にとどまっていて陥凹していないものについては内視鏡的に切除することができます。
内視鏡的治療ができない場合でも腹腔鏡切除など開腹手術ではない負担の少ない治療法が可能ですが
できれば1~2日の入院で済みお腹に全く傷のつかない内視鏡治療で済ませたいものです。
そのためには無症状でもすすんで内視鏡検査を受けて早期診断することが大切です。
癌の発達速度の違いから、胃癌では年1回、大腸癌では2~3年に1回の検査を受ければ
早期発見につながり、手遅れになることはまずないといわれています。
最近は経鼻内視鏡や鎮静剤の併用など以前に比べとても楽に検査を受けられるようになりました。